バーチャルシンガーソングライター「メトロミュー」

コラム「ジャンル:メトロミュー」

ポップス、ロック、メタル、ジャズ、ヒップホップ。一口に「音楽」と言っても、そのジャンルはさまざま。

いや、音楽に限らず、大多数のコンテンツにはサブカテゴリーとしての「ジャンル」がある。

では、メトロミューさんの作る音楽、あるいは彼女自身をコンテンツと捉えた場合の「ジャンル」は、いったい何に分類されるのだろうか。

音楽に焦点を当てるなら、おそらくは「エレクトロポップ」。彼女の存在も引っくるめるなら、たぶん「バーチャル・シンガー」。そのようにカテゴライズして、おおよそ間違ってはいないはずだ。

しかし一方で、こうも思う。

メトロミューさんは、「メトロミュー」というジャンルに分類されるんじゃないか――と。

「メトロミュー」という世界を構成する数多の要素

小柄な体に大きなブーツ。
ハーフパンツにTシャツ。

全体的にシンプルかつ薄い色彩のデザインに、宇宙の濃紺と星々の黄色を思わせるアクセントカラーが際立つビジュアル。幼いようにも大人びているようにも映る、その表情。

アニメキャラクターや動物を目にしたときに口をついて出る「かわいい」とはどこか異なる、ポップなかわいらしさ。

その洗練されたデザインは言わずもがな、動画での仕草や表情、それに何と言っても「声」が加わると、視覚で感じていた数倍増しのかわいらしさがダイレクトに実感できるようになる。

それが、「メトロミュー」という女の子の魅力。

――え? それだけじゃあないだろう、って?

ええ、もちろんですとも。メトロミューさんといえば、何と言っても「音楽」は外せない。

いつまでも聞いていられる、耳に心地の良いエレクトロポップ。まるで宇宙遊泳をしているかのような、浮遊感を覚える音の数々。

関係性や時間経過をリリカルに表現した歌詞。唯一無二のウィスパーボイス。そして、楽曲の背景にある物語。

要素を包み込み、さらに魅力的な「作品」として昇華するアニメーションMV。

そのすべてを統合した「作品」として僕らが観測しているのが、「メトロミュー」というキャラクターであり、音楽であり、物語であり、コンテンツであり――ひいては、「メトロミュー」というジャンルなのではないだろうか。

……我ながら何を言ってるんだ、と思わなくもないけれど。でもそれくらい、「メトロミュー」の世界観は一貫していて、完成されているように映る。

魅力的なカバー曲の数々

メトロミューさんのメインコンテンツは、前のページでも取り上げた「物語」と「オリジナル曲」だ。

その独特な世界観が垣間見えるショート動画がどこかで目に入り、気になって追うようになった人も多いんじゃないかと思う。

と同時に、既存曲の「カバー動画」もたびたび投稿している彼女。

それも原曲に近いインストを用意して“歌ってみる”のではなく、すべての動画で独自のアレンジを加えて歌唱し公開している。原曲とはまた違った「メトロミュー」の世界観が、そこかしこから感じられるカバーとなっているのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=J6bk26sghiYより

最初に投稿されたカバー曲は、『FLY ME TO THE MOON』

ジャズのスタンダードとしても『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマとしても有名で、世界中で大勢のアーティストにカバーされている楽曲。

しかし、これほどの透明感と浮遊感を同時に感じられるカバーは、そうそうないんじゃなかろうか。透き通るような、それでいて甘さも感じられる歌声は、眠れない夜の住人を優しく癒やしてくれる。

https://www.youtube.com/watch?v=gIfK9jmoNTgより

また、公開されるやいなや驚きの声で迎えられていたのが、『リライト』のカバーだ。

原曲とはあまりにも対照的すぎるスローテンポのアレンジに、彼女のメランコリーな歌声と息遣いがたまらない。「え!? こんなのもありなの!?」という驚きと同時に、メトロミューワールドを一瞬で味わうことのできるカバーとなっている。

このページで初めて彼女を知った人にこそ、ぜひチェックしてほしい動画だ。

https://www.youtube.com/watch?v=YQrfC3Sr864より

もうひとつだけ挙げるとしたら、『水星 – tofubeats feat. オノマトペ大臣』は外せない。

「この曲を、メトロミューさんの歌声で」と言われたら、そりゃもう合わないはずがない。

さらに付け加えるなら、そもそも「水星」という曲名からして、宇宙を旅するバーチャルシンガーである彼女にはぴったりすぎる選曲だった。「水星にでも旅に出ようか」と言わず、そのまま本当に水星へと向かってしまいそうな趣がある。

これら3曲以外にも、『どうしよう』『ムーンライト伝説』『今夜はブギー・バック』『ラビリンス』『God knows…』『Prayer X』などのカバー動画を投稿している彼女。

もしひとつでも「おっ?」と気にかかるタイトルがあったら、ぜひアクセスして聞いてみてほしい。

「かわいい」があふれていた生配信と、宇宙船を舞台にしたミニライブ

歌と物語の動画投稿を中心に活動しているメトロミューさんは、他の大勢のVTuberのように、ライブストリーミング配信を行うことはめったにない。

しかし一方で彼女は、2021年に入ってから「生配信」「ミニライブ」をそれぞれ1回ずつ実施している。

特に生配信は、リスナーがメトロミューさんと直にコミュニケーションできる貴重な機会となった。

https://www.youtube.com/watch?v=zFhUE7AjytYより

ノイズ混じりの声から始まり、徐々に通信の波長を合わせていくような形で始まった生配信。

やがてクリアに聞こえるようになった彼女の声は、普段の動画で聞く「メトロミュー」そのまま。当然といえば当然だが、リアルタイムで“交信”できることの新鮮さと感動は大きかったように思う。

配信では彼女のMVを時折流しつつ、全体的にゆるい雰囲気で進行。

「みなさん今日はどんな1日でしたか? 私はかむかむレモンを食べたりしていました」と話し、かむかむレモンのビタミンC含有量の半端なさを語り、チャット欄のコメントも拾いつつ、リスナーとの交流を楽しんでいたメトロミューさん。

途中、準備していたサンプラーに録音していた音声を流して、思わず自分で笑ってしまう場面もあった。むじゃきな笑い声がかわいい。

さらに6月には、1stアルバム『STELLAR BOX』のリリースを記念した宇宙船ミニライブを実施。

ライブでは『めろめろグルーヴ』に始まり、『都市伝説』『ねむたいUFO』『プラズマ』を披露した。

周囲に惑星が浮かぶ宇宙船内のステージで、体を揺らしながら楽しそうに歌う彼女。『都市伝説』の途中、通称「妄想したいしたい体操」の振り付けでは、チャット欄がにわかに盛り上がって加速していた。

上記ツイートで見られるオープニング部分から「メトロミュー」の世界観全開で、かわいらしくも幻想的だったミニライブ。カメラワークもしっかりしており、短時間ながら充実したステージだった。

ライブが終わるやいなや、思わず「VRではライブしないんですか!?」と「次」を期待してしまったほど。

VRを媒介すれば、エクレアドライブにアクセスできたり……しませんか……?(小声)

音が織り成す魅惑の宇宙遊泳へ

約1年間の旅を経て、ついに発売された1stアルバム『STELLAR BOX』

これまでに発表された5つのオリジナル曲に加えて、新曲『ずっとモーション』と、sasakure.UKさんによるRemix版『めろめろグルーヴ』が収録されている。

彼女の旅路と音楽をまとめて振り返ることのできる、ファン必携のアルバムだ。

アーティスト:メトロミュー
¥2,200 (2021/06/14 16:40時点 | Amazon調べ)

1年と聞くと長いようにも感じるものの、彼女はまだまだ旅の途中。

これからもきっと、遥か遠くのどこかの銀河から、僕たちのもとへ素敵な音楽を届けてくれるはずだ。

最近まで彼女のことを知らなかったという人は、ぜひこの1年間の軌跡をYouTubeで確認してほしい。

短いストーリー映像と楽曲が中心のため、あまり時間をかけずにチェックできるはず。1stアルバムも発売され、2年目に突入した今が、ちょうど良いタイミングかもしれない。

音が織り成す魅惑の宇宙遊泳へ、いざ出発――。

関連リンク

©︎ECLAIR GROOVE

1 2
【メトロミュー】サムネイル

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアはこちらから

この記事を書いた人

けいろーのアバター けいろー ライター

フリーライター。VTuber/VR関係の記事を書くライターとして、MoguliveやVtuber Postに寄稿。VTuberの紹介記事・インタビュー・ライブレポートなどの執筆と取材を担当。コラボ実績として「V-Video Night」「VTV ウィークリー」への出演。Grater Recordsのアルバム「ワコンピ」では和太鼓の演奏で参加している。