ホロライブとVRChatの関係を振り返ってみた――ロボ子さんからスモールアメ、火威青からフブみこめっとさんまで(2018~2025年)

2019年の出来事としては、定期開催されるようになった「バーチャルマーケット」の存在が大きい。この頃から「VRChatのイベントで遊ぶVTuber」の姿が見られるようになる。

バーチャルマーケット(Vket)は、アバターなどの3Dアイテムや洋服・飲食物などのリアル商品を売り買いできる、世界最大級のメタバースイベントだ。2018年8月に第1回が開催され、2025年7月には通算14回目となる「バーチャルマーケット2025 Summer」が開催される。

2019年は、3月に「バーチャルマーケット2」が、9月に「バーチャルマーケット3」がそれぞれ開催されたが、そのどちらでも会場を歩くVTuberの姿が目撃されていた。そんなVketとホロメンの接点をはじめとして、この年に誰がVRChatに行っていたのかを見ていこう。

バーチャルマーケットとホロライブ

筆者撮影(2019/3/9)

2019年3月に開催されたバーチャルマーケット2には、ロボ子さんアキ・ローゼンタールさん、そしてさくらみこさんの姿があった。

まず開催初日に、ロボ子さんがVketの「公式配信」としてワールドを巡る配信を実施。以前から交流のあったユキミお姉ちゃんと2人で会場を散策した。

ロボ子さんは2018年の第1回バーチャルマーケットにも足を運んでおり、当時のツイートを見るに、今回も開催を心待ちにしていた様子。配信以外でも薬袋カルテさんを交えて3人で遊びに行っていたらしく、VRChatのお祭りイベントとして楽しんでいたようだ。

同じく、アキロゼさんも開催初日から個人的に会場を訪れていたようだ。配信でもVket会場を探索を行い、この日が初VRChatだったと思しきさくらみこさん(※)と、にじさんじの黒井しばさんと共に、3人――もとい、2人と1匹でいくつかのワールドを見て回った。

Vket2にはいちから株式会社(現・ANYCOLOR株式会社)が協賛・出展していたため、3人でにじさんじブースを訪れて盛り上がる一幕もあった。この時、筆者もたまたまその現場に居合わせていたのだが、鏡の姿でふよふよと動くアキロゼさんに、いかついアバターになった2人が迫ってじゃれ合う場面があったと記憶している。

その半年後、9月にはバーチャルマーケット3が開幕。

この時はホロメンの目立った動きはなかったようだが、カバー社がホロライブブースを出展。ときのそらさんの等身大デジタルフィギュアがブースに展示されていたほか、彼女のマスコット「あん肝」のアバターになることができた。

ちなみに、あん肝アバターは現在もホロライブのBOOTHで購入できる。

  • Twitterでのやり取りを見るかぎりでは、さくらみこさんはアキロゼさんのツイートを見て興味を持ち、急遽参加することになったようだ(参考ツイート)。

VTuber令和カウントダウン

🔴【VRChat】平成→令和の瞬間を見届けよう!【朝ノ瑠璃視点】 – YouTube(2019/4/30)

2019年4月30日。この平成最後の日に、VTuberたちによるカウントダウン配信がVRChatで行われた(#VTuber令和カウントダウン)。

集まったのは、ロボ子さんさくらみこさん、朝ノ瑠璃さん、ユキミお姉ちゃんのらきゃっとさん、ふくやマスターあっくん大魔王届木ウカさん、かみさま四ツ辻まよいさん。この豪華メンバーで、VRChatのワールドを巡りながら令和を迎えた。

大勢でわいわい騒ぎながらワールドを散策しつつ、お店屋さんごっこを始めたり、ギミックで遊んだり、至近距離で撫で合ったり、高い所に上ったり、集まって写真を撮ったり。それ自体は今も昔も変わらない「VRChat」の光景だが、メンバーといい、「元号が変わる瞬間」というタイミングといい、ある意味では貴重な記録配信と言えるのかもしれない。

そらちゃんも遊びに来た!ときのそらファンワールド

筆者撮影

VRChatには、VTuberのファンコミュニティだけでなく、ファンによって作られた「ファンワールド」も存在している。基本的にはファンの交流場所として使われることが多いが、当時は「VTuber本人がファンワールドに遊びに来る」という出来事もあったようだ。

ここでは、「そらともワールド制作部」のみなさんの例を紹介したい。

そらともワールド制作部はその名の通り、ときのそらさんのファン「そらとも」のVRChatユーザーで構成されるファンコミュニティだ。2018年11月に立ち上げられ参考ツイート、有志によって数々のファンワールドが制作された。素材は公式から許可を得て使用しており、2019年1月に「第1回そらとも集会」が開催された際には、そらさんもその旨を投稿している。

同年4月にはそらさんのメジャーデビューを記念して、VRChatワールドTOKINOSORA FANWORLD ~DREAMINGǃ~を公開。このワールドはそらさんの生放送で紹介され、制作部メンバーの案内のもと、そらさん本人も遊びに来てくれたそうだ参考ツイート

ワールドではそらさんの楽曲を視聴可能できるほか、制作部のメンバーが作った別のファンワールドへのポータルも設置されている(※)。また、ワールド公開にあわせて、彼女の星の髪飾りもBOOTHで頒布中だ(カバー社の許可を得て制作)。近年は二次創作ゲームブランド「holo Indie(※)」のゲームも話題だが、このファンワールドの事例からも、同社が以前からファンコミュニティを大事にしていることが伝わってくる。

  • 本来はパーティクルライブも鑑賞できるようだが、筆者が確認したかぎりではワールドのギミックが作動しないのか、ライブが見られるはずの空間に入ることができなかった。
  • holo Indie(ホロインディー):ホロライブプロダクション所属VTuberの⼆次創作ゲームブランド。二次創作ゲームクリエイター向けにゲームクリエイター・サポートプログラムを提供しており、審査に合格すると、同ブランドの公式ゲームとしてリリースまでサポートを行う。これまでに『ホロパレード』『Holo X Break』『ホロライブお宝マウンテン』などが世に送り出されている。

コラム①「ホロライブとcluster」

【19才】ときのそらお誕生日会2019 in cluster【 #そらバースデー 】 – YouTube(2019/5/16)

ロボ子さん、アキロゼさん、さくらみこさんの3人がバーチャルマーケットに遊びに行き、ときのそらさんがファンワールドを訪れていた、2019年春。

VRChatとホロライブの接点が増えつつあったこの時期に、別の場所でも、ホロメンが出演するイベントがたびたび開催されていたことはご存知だろうか。

それが、ソーシャルVRサービス「cluster」だ。

たとえば、ときのそらさんのお誕生日会。2019年5月に入場無料のイベントとしてclusterで開催され、さくらみこさんもゲストとして登場。動くホロメン2人の姿を、同じ空間で、目の前で見ることができた。

また、この前年にもホロメンが出演するイベントがすでに開催されており、2018年5月にはときのそらさんとロボ子さんが生放送を実施。12月には「初代ポンコツ女王決定戦?!ガチンコクイズBATTLE in cluster」が開催されている(出演:ロボ子さん白上フブキさん)。

その後、2019年6月の「第二回ポンコツ女王決定戦」と続いて(出演:白上フブキさん、夏色まつりさん)、チーム対抗クイズバトル「ホロリーグ in cluster」が開催された(出演:白上フブキさん、夏色まつりさん、大空スバルさん、百鬼あやめさん、さくらみこさん)。

2021年には大空スバルさんとの1対1のおはなし会があったり、JRA主催のイベントにホロライブのタレントが何人か出演したりと、ホロメンの姿を見られる機会はそれなりにあった様子。2025年には「ホロアース(※)」がついに正式リリースされたことで、今後はそちらで開催されるだろうイベントにも期待したい。

2018年の「VER.(バージョンドット)」の件もそうだが、この頃は、ときのそらさんがVRイベントの司会として活躍する姿をよくお見かけしていた印象もある。

  • ホロアース:カバー社が手掛けるメタバースプロジェクト。2025年に正式版としてリリース。アバターカスタマイズやユーザー同士での交流を楽しむことができるほか、サンドボックスゲームの要素もある。今後はホロライブのタレントたちが”本人”の姿で遊びに来ることができるようになり、直接交流できるイベントの開催なども予定されている。
劣等上等/天音かなた(VARK LIVE version) – YouTube

カバー社のVket出展やclusterでのイベント開催を経て、ソーシャルVRサービス上でホロメンを見る機会がますます増えると思われた、2020年。しかし蓋を開けてみると、2020年はホロメンがVRChatで配信をした形跡がなく、clusterでのイベント出演もほとんど見られない1年となった。

とはいえ、2020年を振り返ってみると、「ホロライブプロダクション」として大きな出来事が多かった1年だったことがわかる。前年末の4期生のデビューに始まり、年始には初の全体ライブ「hololive 1st Fes.『ノンストップ・ストーリー』」が開催され、9月にはホロライブEnglishが始動。VRよりも他に注力すべきイベントや企画が多かったことは否めない。

ただ、VR関係の施策がまったくなかったかと言えば、そうでもない。むしろコアなホロリスにとっては感涙するレベルの、ビッグなイベントがあった。それが、9月から11月にかけて毎月開催された、Cinderella switch ~ふたりでみるホロライブ~だ。

「VR LIVE『Cinderella switch ~ふたりでみるホロライブ~』」が開催決定! | 株式会社VARK

VRライブプラットフォーム「VARK」で実施されたこのイベントの特色は、「1人がステージに立って歌う様子を、もう1人と一緒に客席で並んで見ることができる」という点にある。「ホロメンのライブを、ホロメンと一緒に見られる」という、特別な体験ができるバーチャルライブなのだ。文字通りの「ガチ恋距離」と疑似デート感覚を味わえるだけでなく、中には「推しから頭を撫で回される」という体験ができる公演もあった。

第1回には天音かなたさんと宝鐘マリンさんが、第2回には常闇トワさんとロボ子さんが、第3回には角巻わためさんと不知火フレアさんが、それぞれ出演。その後も2023年まで定期的に開催される人気イベントとなり、計20公演が行われた。言葉を直接交わせるわけではないが、これほど近い距離でホロメンと触れ合える機会は、今後もそうそうないのではないだろうか。

最前列どころか、客席まで下りてきて歌ってくれるシーンもある。隣で“もう1人”が限界化するのも当然と言えば当然かもしれない【YouTube

Cinderella switchは開催年ごとにサブタイトルが若干異なり、2020年「ふたりでみるホロライブ」、2021年「ふたりでつくるホロライブ」、2022年「みんなでつくるホロライブ、2023年「ふたりでうたうホロライブ」となっている。

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