ホロライブとVRChatの関係を振り返ってみた――ロボ子さんからスモールアメ、火威青からフブみこめっとさんまで(2018~2025年)

ホロライブ×VRChatまとめ記事

2024年夏以降、VRChatで配信をするVTuberが増えています。

中でも話題になったのが、ホロライブに所属するタレントたちによるVRChat配信です。2025年3月には「マクドナルド初の公式VRChatワールドで星街すいせいさんが配信をする」という、まさかのコラボレーションも実現。ホロメン(ホロライブメンバー)によるVR配信は、2025年に入り、VRChatブームが一段落した後もたびたび注目を集めています。

今回取り上げるのは、そんなホロライブVRChatの接点について。

2024年から2025年にかけての出来事はもちろん、1期生がデビューした2018年まで遡り、VRChatとどのような関わりがあったのかを振り返ってみました。「完全網羅」とまでは言えませんが、hololiveEN/IDも含めて、確認できる範囲で過去の配信と企画をまとめています。

ホロメンの配信は見てるけど、VRChatはよく知らないんだよなー。

毎日VRChatで遊んでるけど、ホロライブは詳しくなくて……。

前者のようなホロライブファンにも、後者のようなVRChatユーザーにも、なるべくどちらにも伝わるようにまとめたつもりではありますが、かなりの文章量になってしまったので、読むのが大変かもしれません。ざっとスクロールしてもらって、気になる箇所だけでも読んでもらえたら嬉しいです。

「火威青」以前から接点があった、ホロライブとVRChat

【3Dソロお披露目】VRChatで3D!沢山ファンサするよ✨【火威 】 – YouTube

2024年9月29日。
1人のVTuberが、VRChatの世界に降り立った。

彼女の名前は、火威青。ホロライブプロダクション傘下のグループ「hololive DEV_IS」に所属するユニット「ReGLOSS」のメンバーだ。

青さんはこの日、3Dモデルのお披露目配信を実施。ReGLOSS初の3Dライブ「Reach the top!」が行われた直後に、ユニットとしてではなく、自分1人で3Dモデルを披露する晴れ舞台として選んだのが、まさかのVRChatだった。

この配信はホロリス(ホロライブリスナー)のみならず、VRChatユーザーや外部のVTuberファンのあいだでも話題になり、ニュースサイトで取り上げられる事態にまで発展した。筆者の周囲では、特にVRChatユーザーから驚きと歓迎の声をもって受け止められていたのが印象に残っている。

青さんが楽しそうにVRChatで動いている姿を見て興味を持ったのか、はたまたメンバー同士で何らかのやり取りがあったのか。彼女の3Dお披露目配信を皮切りに、ホロメンの中からも何人かがVRChat世界に飛び込んでくるようになる。宝鐘マリンさんと青さんのコラボ配信、白上フブキさんのソロ配信、星街すいせいさんのマクドナルドコラボ、「フブみこめっとさん」の3人によるホラーワールド探索などが、2025年前半までに次々に行われた。

【VRChat】VRChatワールド「Tokyo Mood by BEAMS」Horror Versionへ挑む!!!!【#フブみこめっとさん】 – YouTube

こうして見ると「急にホロライブがVRChatに来た!」ようにも感じるが、実のところ、過去に接点がなかったわけではない。それどころか、「VTuber業界において、トップレベルでVRChatと密接な関わりを持っているグループの1つがホロライブである」と言っても過言ではなさそうなのだ。

たとえば、2022年にニューヨークで開催されたアニメコンベンションでは、カバー社(※)とVRChat社がコラボブースを出展。翌年には、ホロライブのグローバルイベント企画「hololive Meet」にVRChat社がオフィシャルスポンサーとして名乗りを上げ、VRChat上でも公式ワールドを公開している。また、詳しくは後述するが、ホロライブEnglishのメンバーほどVRChatと密接に関わっているVTuberは(少なくとも企業勢では)そうそういないだろう。

さらに遡れば、まだ「VTuber黎明期」と言えそうな2018年の時点で、VRChatで配信をしていたホロメンもいる。本記事ではそのような2018年当時の記録にも触れつつ、「ホロライブ」と「VRChat」の接点を振り返っていこうと思う。

  • カバー株式会社。VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営。事務所の構造としては、全体を包括する「ホロライブプロダクション」の傘下に、「ホロライブ」「ホロライブEnglish」「ホロライブインドネシア」「hololive DEV_IS」「ホロスターズ」「ホロスターズEnglish」といったグループがあり、そのグループの中に「〇期生」やユニットの括りがある。事業としては同プロダクションを主軸に据えつつ、グッズ販売やタイアップを含むメディアミックスも同社内で手掛けている。メタバース事業「ホロアース」も展開中。

2018年の“バーチャルYouTuber”とVRChat

「2018年のホロライブ」と言われて、当時の状況をすぐに思い起こせる人はそう多くないかもしれない。筆者もすぐにはピンとこなかった。

調べてみたところ、ホロライブ1期生のデビューが2018年5〜6月。2期生のデビューが同年8〜9月となっている。3期生に至っては、翌年までデビューを待たなければならない。

そもそも「バーチャルYouTuber」がネット上で注目されるようになったのが2017年末だったことを踏まえると、2018年はまだ「VTuber黎明期」と言える時期だ。にじさんじとホロライブの両グループが本格始動したタイミングでもあり、2025年現在と比べれば、ファンの数も業界を取り巻く状況もまったく異なる。

その“状況”の違いの1つとして挙げられるのが、「3Dモデル」の立ち位置だ。

「バーチャルYouTuber四天王(※)」の5人がそうだったように、当時のバーチャルYouTuberは、3Dモデルで動画投稿を行う活動スタイルが主流だった。同年2月にデビューしたにじさんじ1期生によって「Live2Dモデルでライブ配信を行う」というスタイルも広まりつつはあったものの、この時期はまだ「バーチャルYouTuber=3Dモデル」のイメージも根強かったと言える。

そんな3Dモデルで活動するバーチャルYouTuberたちと少なからず縁があったのが、VRChatだ。

まず名前が挙がるのは、「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」として一世を風靡した、ねこますさんだろう。当時のツイートインタビュー記事を読んでみると、VRChatを積極的に紹介していたことがうかがえる。また、ミライアカリさんも2017年11月にVRChatで撮影した動画を投稿しており、これをきっかけに知った人も多いかもしれない。

【速報】次元の壁を越えた!in VRChat【MiraiAkariProject#010】 – YouTube

実際、2018年に入る頃には、VRChatを使ったコラボレーションがVTuberたちのあいだで行われるようになる。実際、当時の動画やアーカイブを見るといろいろなVTuberの姿を確認でき、懐かしく感じる人もいるかもしれない。

とはいえ、前述の「Live2D×ライブ配信」の潮流もすでに広がりつつあり、当時のVTuberがみんなVRChatを知っていたわけではないだろう。しかしそれでも、「3Dモデルで活動するVTuberたちが集まって、交流やコラボができる場所」としてVRChatが存在していたことは間違いないはずだ。

本筋ではないので煩雑なまとめになってしまうが、「当時の主流ではなかったかもしれないが、『バーチャルYouTuber』と『VRChat』にはそれなりに接点があった」というのが、2018年のバーチャル世界を取り巻く状況だったと言える。以上を踏まえて、まずは2018年のホロライブとVRChatの接点を振り返っていきたい。

  • バーチャルYouTuber四天王:バーチャルYouTuberブームの火付け役となった5人、キズナアイさん、電脳少女シロさん、ミライアカリさん、バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん(ねこます)、輝夜月さんの5人を指す言葉(参考:ニコニコ大百科)。

前置きが長くなったが、そんな「VTuber」と「VRChat」が交差する地点に、実は2018年当時から活動していたホロメンの姿もあった、というわけだ。

それは、デビュー間もない1期生ではなく、ニコニコ生放送をメインに活動していたときのそらさんではなく、ホロライブ加入前のさくらみこさんでもない。2018年時点で“高性能”な3Dモデルを持っていた、ホロライブのバーチャルYouTuber。

そう、ロボ子さんだ。

いち早くVRChatの世界に飛び込んだロボ子さん

バーチャルスター爆誕! VER.受賞式~伝説の始まり~ – YouTube(2018/11/25)

2025年現在、ロボ子さんのYouTubeチャンネル上で公開されているVRChat動画は数が限られており、特に初期の配信アーカイブについては残念ながらほぼ見ることができない。

他方で、コラボ相手のYouTubeチャンネルや、当時のTwitterの投稿を見ると、たしかにロボ子さんがVRChatで過ごしていた姿を確認できる。当人のツイートによると、2018年5月にはVRChatに足を運んでいたらしく、その後、7月に初めてVRChat配信を実施。この時はコラボ配信をしており、のらきゃっとさんのチャンネルにアーカイブが残っている。

【ロボ子さん】無機物でもデートがしたい!VRCお出かけコラボ【のらきゃっと】 – YouTube(2018/7/24)

その4日後には、動く城のフィオさんが主催するアスレチック企画「バーチャル忍道(ニンジャロード)」に参戦。8月には、後述する12時間耐久配信をVRChatで敢行している。

9月にもVRChat配信を最低2回は行い、10月にはVTuberオーディションイベント「VER.(バージョンドット)」の放送に出演。同企画ではときのそらさんがMCを担当しており、11月の授賞式も含めると3回にわたって2人で出演している。

それ以外にも、10月のハロウィンの時期にのらきゃっとさんとの再コラボが実現したほか、12月にはクリスマスワールドで雑談配信をしていたようだ。頻度としては「たまにVRChat配信をしていた」程度とも受け取れるが、ロボ子さんの当時のツイートを見るとVRChat関係の話題も散見されることから、それなりにVRの世界にハマっていたようだ。

ロボ子さんと会ってお話ができた!?12時間耐久VRChat配信

ロボ子さんのVRChat配信と言えば、8月25日夜から26日午前にかけて行われた耐久企画「ロボ子さんを寝落ちさせろ!12時間耐久VRC配信~VRは地球を救う~」は外せない。

本放送のアーカイブは非公開となっているが、「#VRCロボ子12h」のハッシュタグを遡ると放送中の実況ツイートもたくさん残っていて、注目度の高い企画だったことがわかる。

また、本企画において象徴的なのが、タイムスケジュールのゲストの欄に、ロボ子さんのファンである「ろぼさー」の記載があることだろう。この耐久配信では視聴者参加型の交流企画があり、ロボ子さんとVRChatで会って話をすることができたのだ。

ハッシュタグ検索をすると、ろぼさーのみなさんがVRChatで交流している写真や、現地でロボ子さんと言葉を交わしたファンの興奮気味な声が今も残されている。この「推しと同じ空間で会って話す」という体験は2018年当時も相当レアなイベントだったはずであり、ファンにとってはかけがえのない思い出となったのではないだろうか。

耐久配信にろぼさーのみなさんが駆けつけた一方で、その数日前にVRChatで開かれたファン集会「ろぼさー集会」にもロボ子さんが顔を出していた様子。また、2019年1月にはときのそらさんのファン集会「そらとも集会」が開かれるなど、VRChatでは当時からVTuberのファンコミュニティが存在していたことがうかがえる。

2024年の6年前にもハロウィン企画に参加!当時は「鏡」の中にいたアキ・ローゼンタール

バーチャルハロウィン VR脱出ゲーム ~伝説のお菓子を求めて~ – YouTube(2018/10/27)

ロボ子さんがVRChatでその高性能ぶりを発揮して飛び回っていたいた一方で、2018年も後半に差し掛かると、ホロライブ1期生の中からもVRの世界に足を踏み入れるメンバーが現れる。その先陣を切ったのが、アキ・ローゼンタールさんだ。

彼女が出演したのは、2018年10月末に行われた企画「バーチャルハロウィン VR脱出ゲーム ~伝説のお菓子を求めて~」。個性豊かなプレイヤーたちを案内し、ゲームを円滑に進行する実況・MCとしての役割を果たした(※)

当時はまだ自身の3Dモデルを持っていなかったアキロゼさんは、デフォルメ調のかわいらしい姿でVRChatデビュー。配信での説明によると、これは「異世界の商人さんからお借りした魔法の鏡から覗いている」らしい。ちなみに、翌2019年にもアキロゼさんは何度かVRChatに足を運んでいるが、基本的にはこの「鏡」の姿で過ごしていたようだ。

バーチャルハロウィン VR脱出ゲーム ~伝説のお菓子を求めて~ – YouTube(2018/10/27)

このVRChatデビューからちょうど6年後の、2024年11月に行われたホロライブの大型コラボ企画「Justice’s Haunted Investigation」。このコラボに参加したアキロゼさんの配信の説明欄を見ると、おそらくはこの2018年当時の姿を指して、「鏡に閉じ込められた姿」と書かれていることがわかる。

  • アキロゼさんの当時の投稿を見ると、コラボの打ち合わせのためにVRChatに入った時の感想ツイートも残っている。この時はねこますさんのワールドに遊びに行っていたようだ。
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