M13.「Prism」
💛💙💜
「Prism」は、コンピレーションアルバム『VirtuaREAL.04』の収録曲。多彩な音色が次々に飛び出すエレクトロサウンドが魅力の1曲だ。
単体で聞いても楽しいが、「ユニット」としてのステージパフォーマンスが特に映える楽曲でもある。細かく区切られた3人の歌唱パートに、1曲の中で何度も入れ替わるポジション、その場その場で刻まれるステップやキュートな振り付けなど、見どころが満載。観客たちも目線をステージに釘付けにされつつ、思い思いに体を揺らして楽しんでいた。
M14.「My Shining Day」
💛💙💜
続く「My Shining Day」は、同タイトルの3rdオンラインライブでフルバージョンが初披露された、ユニット再始動後の最初のシングル。
3人の歌声が重なって生まれるハーモニーと、一糸乱れぬパフォーマンス。その完成度の高さに目を引かれるが、息が合っているのはステージ上の3人だけではない。というのも、目の前で歌って踊る3人の振り付けが、後方の大きなスクリーンに映し出されているMVの3人の動きとも、驚くほどにシンクロしていたのだ。
ライブ会場の映像演出と言えば、たとえズレていたとしても、ある程度は「そういうもの」だとして許容できる。ところが、このステージにおいてはむしろズレらしいズレがほとんどなく、「違和感がない」ことが逆に違和感であるように感じられるほどだった。それほどに洗練された、3人の積み重ねが垣間見えるパフォーマンスだったと言えるだろう。
最後の曲を歌う前に、épelerとしてのユニット活動について、改めて振り返りながら話し始めた3人。
完全個人のセルフプロデュースユニットゆえに、何から何まで自分たちでやる必要があったこと。3年前のクラウドファンディングから始まり、手探りながらいろいろなことに挑戦してきたこと。それでもこうしてワンマンライブを開催し、目の前に広がる光景を見られていること。思い思いに話す3人の口調は晴れ晴れとしていて、そこに迷いはなかった。
épelerはね、「これからもっと“飛躍”していくぞ!」と、そういうつもりでいます。
もちろん、個人の活動がそれぞれあるメンバーが集まったユニットではあるので、そちらも大切にしつつ、épelerでしかできないこと、生み出せないことを、一緒に続けていきましょう!
がんばりましょう!!
やるぞ!!
M15.「勝利の唄を」
💛💙💜
最後の曲は、この日リリースされたばかりの新曲。2024年1月に行われたイベント「ローモバ×épeler 新曲獲得チャレンジ」の目標達成によって制作された「勝利の唄を」が、この晴れ舞台で披露された。
「勝利の唄を」は、和楽器の音色が1曲を通して鳴り響く和ロック。今回のワンマンライブのタイトル「飛躍」と、そのキービジュアルとも通じる華々しい楽曲だ。スクリーンに流れるMVでは和装に身を包んだ3人の姿を見ることができ、振り付けにも「和」の要素を取り入れていることがわかる。力強く唄い舞い踊る3人のパフォーマンスに、épelerの新たな一面と可能性、明るい未来を確信させられるステージだった。
M16.「Star&Stars!」
💛💙💜
アンコールの声を受けて画面が明転し、再びステージに現れた3人。流れ出したのは、今回のライブではまだ歌われていなかった、あの曲のイントロ。クラウドファンディングを経て制作された、épelerの始まりの楽曲「Star&Stars!」だ。
「一番最初のオリジナル曲を、1stワンマンライブのアンコールで歌う」という構図だけでファンにとっては感激ものだが、それ以上に特筆すべきは、ステージ上に立つ3人の姿。それまで着ていたépelerの共通衣装ではなく、各々が「個人」として活動する際の、見慣れた普段の服装で登場していたのだ。
この粋な演出には、ここまで休むことなくライブを楽しんでいたえぷらーたちも大喜び。思わず漏れてしまったかのような雄叫びがフロアのあちらこちらからから響き、ステージへ向かって手を振り、声を上げ、推しの晴れ舞台を全身全霊で盛り上げ楽しむ姿が見られていた。
アイドルユニットとしても、個人勢VTuberとしても、さらなる“飛躍”を目指して
「アイドル活動をするVTuberユニット」と聞くと決して珍しい存在ではないものの、改めて振り返ってみると、épelerはその成り立ちからして独特だ。
「オーディションに受かって3Dモデルのバーチャルアイドルとしてデビューするはずが途中でプロジェクトが潰れて2Dのまま放り出された新人VTuber」5という出自を持ち、のちに加入した事務所で多数のライブ主催を経験した後、現在は個人勢として活動する、柚子花。
大勢が参加する公開オーディションを勝ち抜いて企業所属VTuberとなり、自身のMIX技術を活かした音楽活動を精力的に行うも、やがて事務所が解散。別名義の新しい姿で個人勢VTuberとして再出発を果たした、ChumuNote。
音楽サークル所属の個人VSingerとしてデビューし、約2年半に及ぶ音楽活動の中で数多くの楽曲を発表。2021年のサークル脱退後は個人勢VTuberとして再デビューし、現在もリスナーに向けて歌と音楽を届け続けている、Flare Rune。
そんな3人が集まり、クラウドファンディング6から始まったユニット。それが、épelerだ。
約1年間の休止期間もありながら、それでも年単位でアイドル活動を続けてきて、ついには有観客ワンマンライブを実現した3人。この実績は、1つのアイドルユニットの成功体験にとどまらず、音楽やアイドルの分野で活動するVTuberたちと、それを応援するファンを勇気づけるものだと思う。
なぜなら、épelerは「完全セルフプロデュース」のアイドルユニットだからだ。
冒頭でも触れたように、今回の有観客ライブは、個人勢VTuberとして自分の活動もある3人が、楽曲制作からイベントの準備に至るまでのすべてを、自分たちの力によって進めて作り上げたものだ。一言で「セルフプロデュース」と書くとあっさりしているが、ライブを実現するまでの背景には、計り知れない挑戦と努力、苦悩と困難、試行錯誤があったことは想像に難くない。
たとえば、全曲オリジナルのセットリスト。
既存曲と音源を借りてのカバーではなく、全曲がユニットあるいはメンバーのオリジナル曲で構成されたワンマンライブ。しかもアイドルユニットである以上、そのステージでは、歌って踊るダンスパフォーマンスも行うことになる。クリエイターの力を借りながら楽曲制作を行い、振り付けを決め、歌の完成度を高めつつ、ダンスも覚えて、3人で合わせる練習をする。厳密にはそれだけではないはずだが、とにかくやることが多いのは間違いない。
ソロパートもあるため出突っ張りというわけではないものの、それでも各々の担当曲は1人10曲以上。ライブ全体では16曲にも及ぶステージのすべてを通しでこなせるようになるまで、いったいどれだけの練習を積み重ねてきたのか――。そう考えると、当日のパフォーマンスの完成度の高さとすごさが、より際立って感じられるのではないだろうか。
加えて、ライブのために必要な準備はそれだけではない。企業や事務所に所属していないépelerは、イベントに関連する文字通りすべての「準備」を、少人数で行わなければならなかったはずだ。
会場の選定に日程調整、グッズ作成に事前広報、チケットの手配にオンライン配信。諸々の折衝や発注、関連企画の準備やライブ当日の各所とのやり取り、さらには普段の練習のためのスタジオの確保まで含めれば、膨大な量の「準備」が必要だったと推測できる。そのすべてを少人数でこなし、大きなトラブルもなくイベントを成し遂げたのだから、それは活動における大きな「実績」として評価されるべきものであるように思う。
此度のワンマンライブは、そんなépelerの努力と魅力が詰まった、集大成的なイベントだったと言える。パフォーマンスの完成度も、イベント運営も、ファンに楽しんでもらうために準備した企画も、そのすべてが、これまでのユニット活動なくしては実現しなかったもののはず。もちろんそこには、えぷらーたちの応援も含まれる。渋谷の街頭ビジョンを使った参加型企画「エプレ駅伝」7では大勢のリスナーの声が集まったほか、ライブ後に行われた撮影会も大いに盛り上がっていた。ライブで初披露された新曲「勝利の唄を」だって、えぷらーの協力があってこそ生まれた楽曲だ。
ワンマンライブの開催は1つの到達点かもしれないが、当然それで終わりではない。
特にアンコールで歌われた「Star&Stars!」のステージは、épelerのこれまでの積み重ねと、これからの可能性を顕著に示すものだったように思う。「志を共にするユニット」としての共通衣装から、個人勢VTuberとしての見慣れた服装へ。まだ共通衣装がなかった初期のMV8を晴れ舞台の上で再現することによって、メンバー各々の「個人」としての魅力を再認識させられる。そんな感覚もあった。
三者三様の魅力を持つ個人勢VTuberが揃えば、アイドルユニットとしても輝くことができる。そして、アイドルユニットとして輝けば輝くほど、個人で活動するVTuberとしての輝きも増していく――。ユニット活動とソロ活動を行き来し、双方に良い影響を及ぼし合うことで、アイドルとしてもVTuberとしてもますます“飛躍”していける。これを可能性と呼ばずして、何と言えるだろうか。
夢を掴んだ先も、輝ける日々は続いていく。
3人で踏み出した足は、まだまだ止まらない。
- Life After Dreams
- 未来図
- Pride Bride
- ブレイブライブ
- My Story!
- Vigor covered by 柚子花
- 魔法少女Y×F
- LIGHT×LIVE×RIGHT
- Swimmy covered by Flare
- PERSONAE
- アンデッドハート
- ちっちぇえいきもの監視観察健康法 covered by ChumuNote
- PRISM
- My Shining Day
- 勝利の唄を
- Star&Stars!
【イベント概要】épeler 1st one-man live「飛躍」
- 開催日時:2024/9/7(土)16:00〜21:00
- 会場:六本木CUBE
- 出演:épeler(柚子花、ChumuNote、Flare Rune)
- ゲストDJ:BΣretta Crossrain
- ハッシュタグ:#エプレワンマン
- アーカイブ配信:épeler 1st one-man live「飛躍」 – Zaiko(配信チケットの購入は9/30まで、アーカイブ視聴は10/7まで)
- BΣretta Crossrain(@BerettaCR) / X ↩︎
- https://x.com/BerettaCR/status/1832333318119157870 ↩︎
- MEGAMI.Rec|メガミノウタゲ ↩︎
- メガミノウタゲ Music Initiative – épeler コラボレーション コンポーザー募集 – ↩︎
- https://x.com/Yuzuha_Virtual/status/1128286315139571713 ↩︎
- “新規VTuberアイドルユニット”を立ち上げたい!アルバム制作プロジェクト – CAMPFIRE ↩︎
- 【エプレ駅伝】3人組バーチャルアイドルユニット épeler -エプレ- への応援メッセージの襷を繋ぎました(2024年8月25日〜9月13日で放映) – YouTube ↩︎
- épeler – Star&Stars! [Official MusicVideo / エプレ] – YouTube ↩︎