魂オーディション、ぶっちゃけ参加してどうだった? 元参加者4人が語る、VTuberになりたい人にこそおすすめしたい“公開オーディション”の魅力

【サムネイル】魂オーディション 元・参加者座談会

VTuberの世界には、「魂オーディション」と呼ばれる形式のオーディションがある。

募集要項はさまざまだが、文字通りVTuberの「魂」を決定するためのオーディション。事務所やグループがあらかじめキャラクタービジュアルを用意し、いわゆる「中の人」を決めるための選考だ。

なかでも話題に挙がるのが、SHOWROOMでたびたび開催される公開型の魂オーディション。

限られた「魂」の枠を勝ち取るべく数十〜数百人の候補者が参加し、数週間〜数ヶ月にわたって実際にライブ配信を行う。同じ顔をしたVTuber候補のサムネイルがずらっと並ぶ光景はなかなかにインパクトがあり、過去には「バーチャル蠱毒」と称され話題になった企画もあった。

選考過程となるライブ配信ではドラマが生まれることもあり、SHOWROOMリスナーのなかにはこの手のオーディションを意識的に追っている人も少なからずいるらしい。

ぐるりみち。
バーチャル蠱毒の“当事者”になって感じたこと〜推さなければ生き残れない - ぐるりみち。 バーチャル蠱毒こと「最強バーチャルタレントオーディション~極~」について。いろいろな意味で話題になったこのイベントの当事者となり、感じたことをまとめました。

しかし「魂」が決まったあとは、オーディション期間中の活動が省みられる機会はほとんどない。オーディション参加者とリスナー以外には、「そこで何が行われていたか」「どのような思いで参加したのか」といった実情を知る手段がないのだ。

ゆえに魂オーディションに興味を持ったとしても、その内容は過去の断片的な情報からしか窺い知ることができない。そんな現状がある。

そこである日、ふと思いつきで「魂オーディションに参加した“当事者”の声を聞ける場があったらいいな……」ツイートをしたところ、何名かの魂オーディション経験者から反応をいただいた。

――というわけで、前置きが長くなりました。

当サイトでは今回、「元・魂オーディション参加者座談会」と銘打ち、座談会を実施。実際に魂オーディションに参加した過去を持つ4人に話を聞きました。

残念ながら「魂」には選ばれなかったものの、その後、自らも個人勢VTuberとしてデビューし、活動を続けることを決めた元候補生。彼女たちは今、何を考え、またオーディション当時はどのような思いで挑んでいたのか。1時間半にも及んだ座談会で語られたのは、想像以上に前向きかつ興味深い「魂オーディション」の話でした。

目次

どうして魂オーディションに参加したの?

――みなさん、本日はお集まりいただきありがとうございます。まずは簡単に自己紹介からお願いできますでしょうか。

何某ゆめ

はい! 某企業オーディションの「海」枠にいました。VTuber準備中のクリオネの女の子、何某ゆめ(なにがしゆめ)と申します。よろしくお願いします。

久遠ユキ

某企業オーディションの「犬」枠のほうに参加していました。ゴールデンレトリバーの久遠ユキ(くおんゆき)です。よろしくお願いしまーす。

冬鈴ベル

「海」枠のほうで参加しておりました。猫妖精VTuberの冬鈴ベル(ふゆすずべる)と申します。よろしくお願いします。

歌与ポメ

ユキちゃんと同じく「犬」のほうを受けていました。歌を歌うヨーグルト、歌与ポメ(うたよぽめ)です。よろしくお願いしまーす。

――ありがとうございます。今回お集まりいただいたみなさんには、「2020年12月にSHOWROOMで開催された魂オーディションの参加者である」という共通点があります。そのオーディションに参加した理由やきっかけについて……では、ゆめさんから順番にうかがってもよろしいでしょうか。

何某ゆめ

きっかけは、「年末の飲みの席の話のネタになるから」っていうのが一番最初でした。

とある別の企業オーディションの参加者さんが仰っていた、「忘年会でネタになるから」という理由とかぶってしまって恐縮なんですけど。

久遠ユキ

初知りだ!

何某ゆめ

たまたまTwitterでオーディションの話が流れてきて、「あ、こんなのあるんだ!」って。

私自身、VTuberさんはすごく好きで見ていたのですが、最初はその……「まあネタになったらいいや」くらいの気持ちでオーディションのホームページを見たんです。

そこに事務所に所属している方々からの応援メッセージとして、「何者かになれるかもしれない」ということが書かれていて、それがすごく刺さったんです。テーマも「ゼロからムゲンへ」って書かれていて。

私が配信経験のない「ゼロ」だったっていうのもあり、それを見て「やるしか……ないかあ!」と勇気づけられたのがきっかけですね(笑)

久遠ユキ

かっけ〜〜〜!!

何某ゆめ

なんかちょっと「エモ」みたいになっちゃった(笑)

冬鈴ベル

エモだ!

何某ゆめ

入り口は「ネタになるんじゃなーい?」みたいな不純な動機だったんですけど(笑)

――ですが、その入り口で目に入ったメッセージが「刺さる言葉だったから」というのは大きな理由になっていそうですよね。僕もその言葉は印象に残っていたのですが……たしかこちら、熊野ぽえみさんのメッセージでしたよね?

何某ゆめ

あ! そうですそうです!!

めちゃめちゃ刺さって、あの瞬間、なんだか心臓がドキドキしたのを覚えています。そこで「やるしかないな」と思ったのがきっかけですね。

何者にもなれなかった自分が「何か」になれるかもしれない。なりたい自分になれるかもしれない。変わりたいと思った時から人は変われるんだと思います。あとは行動するだけ。自分が好きになれる自分に一緒になっていきましょう。

https://0project.jp/zeroproject-audition-mugenより)

――なるほど、ありがとうございます! では、久遠氏はいかがでしょうか?

久遠ユキ

えーっと、久遠氏はもともと友達がVTuberで。

VTuberに興味はあれど、「でもVTuberって大変なんでしょ〜?」っていうイメージがすごくあって。自分で始めるにはちょっと敷居が高いな、ってずっと思ってたんですよ。

でもその友達のVTuberから、「『魂オーディション』っていう、もともとイラストが用意されてる入り口もあるよ!」ということを教えてもらって。

さらにちょうど同じタイミングで、また別の友達からも「このオーディション、別の枠で受けるけど、ユキも参加しない?」って言われたんですよね。

「なかよぴが参加するんやったら、私もやってみようかな?」くらいの軽いノリだったんですけど。

さっきゆめちゃんも言ってた激励のメッセージもあったので、「私もこれで、何者かになれるかもしれないんだ……!」と思って、何者かになりにいった感じですね。

何某ゆめ

わ〜〜〜!!(感嘆)

久遠ユキ

わ〜〜〜!!(照)

――久遠氏にも、ぽえみさんの言葉がすごく刺さっていたのですね……!

久遠ユキ

すごく良いことが書いてあったので!

何某ゆめ

ほかの候補生のあいだでも「あの言葉、よかったよね」って話しているのを聞いたことがあります。

あの言葉がなかったら、今ここにいない人も結構いると思ってるんですよね。

久遠ユキ

マジで、激深(げきふか)言葉。

歌与ポメ

重要人物……!

何某ゆめ

私、あの言葉をスクショしていたので、本当にしんどい夜とかに読み返して、「いや、でも、がんばるって決めたから……!」って思い返してました。

久遠ユキ

かっけ〜〜〜!!

冬鈴ベル

すてき……!

――ぽえみさんの言葉に限らず、「所属VTuberからの応援メッセージがあったから応募する決意が固まったし、オーディション期間中もがんばれた」という人は少なからずいらっしゃったのかもしれませんね。では、ベルさんはいかがでしょうか?

冬鈴ベル

ベルは……そんな、エモい理由はないんですけど(笑)

久遠ユキ

私もぜんぜんエモくないから大丈夫だよ!

冬鈴ベル

ベルはもともと推しが何人かいて、半年くらいVTuber文化にふれてたんですけど、「VTuberになりたいな」とかは特に思ったことがなくて。

ただ、新しいことにすごく興味があって、なんでもかんでも始めたがりなんですよね。

Twitterを使っていると、推しだけじゃなくて、その推しのファンの方々もフォローするじゃないですか。たまたまベルと推しが同じだったファンの方が、その某企業さんの、某VTuberさんのファンで、タイムラインにその方のツイートが流れてきたんですよ。

そこに「フォロワー! オーディション、参加しない?」ってめっちゃ軽く書いてあったんですよ。オーディションのことが(笑)

何某ゆめ

「ヘイ! フォロワー! 参加しない!?」みたいな感じだもんね(笑)

久遠ユキ

へい! ふぉろわー!

冬鈴ベル

そうそうそうそう!(笑)

なんかあまりにも軽すぎて、VTuberのオーディションってすごく気合いを入れてやるもんだと思ってたから、「そんな気軽にやれるのもあんのか〜!」ってちょっと気になって。

オーディションのページを開いたら「音声を送ればいい」って書いてあったから、「じゃあ送るかー!」って送ったら……いつの間にかああなってた、っていう感じです。

だから明確に「こうありたい!」みたいなのがあるわけではなくて。

――「たまたまTwitterで見かけた募集ツイートからハードルが低そうな印象を受けて、それゆえに気負わず参加できた」という感じでしょうか。

冬鈴ベル

そうですね。だから、逆パターンかもしれないです。

「こうなりたい人たち、集まってくれ!」みたいな強いメッセージだったら多分、逆にベルは参加しなかったかもしれない。「そんな軽々とでいいんだ!」みたいな感じだったので。

だから応募したときは、オーディションの選考で配信があることすら知らなかったんですよ(笑)

何某ゆめ

本当に「ヘイ! フォロワー!」に乗っかってるね(笑)

久遠ユキ

「音声を送ったらええんや!」っていう認識だったんだ。

冬鈴ベル

そう! 音声を送ったら、もう勝手に審査が終わってる……みたいなイメージだったのかな。

そしたら「配信が始まりますよー」って言われて、「えっ!?」って。

「そういうことなら……しゃ、しゃーないなぁ(震え声)」みたいな。そんな感じです(笑)

――ありがとうございます。最後に、ポメさんはいかがでしょうか?

歌与ポメ

どうしよう……最後なのに、一番しょうもない理由で参加しちゃった……(笑)

久遠ユキ

それは! それで! あり!

何某ゆめ

大丈夫だよ!
オチ担当でいこう!

歌与ポメ

歌与、アメリカに友達がいるんですけど、その友達と深夜にお酒を飲みながら電話したことがありまして。

「お前、配信者向いてるからやってみろよ」って言われて「やるかあ!!」ってなって、その場で「配信者になる方法」みたいな感じで検索して。

当時はVTuberとかもぜんぜん知らなくって、すごく大手の企業の名前だけはかろうじて知ってる、くらいのレベルでした。

その程度しか知識がないのに、「へー! 今は配信者をやるならVTuberがアツいんだー! じゃあVTuberのオーディション受けよー!」「あ! イラストがかわいいから、これ受けるわ!」って流れになって。

ちょうどその時期は時間的にもゆとりがあったから、それこそ「ネタ作りのひとつ」じゃないけど。朝4時とかにオーディションのページを見つけて、午前12時前くらいにはもう「どうせ一次も通らんやろ!」と思いながら、ノリと勢いで音声を提出した感じです(笑)

久遠ユキ

行動力だ……!

何某ゆめ

行動力だねえ……!

歌与ポメ

完全にノリと勢いで応募して、「まあ、なんとかなるっしょ!」みたいな感じで配信を始めて。

でもだんだん、応援してくれる人が目に見えてわかるようになってきたんですよね。

「ちゃんと応援してくれてる人がいるのに、ずっとノリと勢いでやるのは違う」と思って、本気でやろうと決意しました。

一次審査が終わって二次審査が始まる少し前くらいの頃に、やっと自分がヤバいところに足を踏み入れたことに気づいて(笑)

久遠ユキ

ヤバいところ(笑)

何某ゆめ

「犬」枠がすごく激戦だった、というのもあったよね。

歌与ポメ

「本気でやらないと周りの候補生たちにも失礼だし、何より応援してくれてる人たちに失礼だから」と思って、そこからいろいろとちゃんとやりだしました。

だから理由は後になって出てきた形で、最初は完全に勢いで応募しましたね。このなかで一番しょうもない理由で申し訳ない!

何某ゆめ

いやいやいやいや!

久遠ユキ

ってかもう、つかみの「アメリカに友達がいて」がおもろいもんな。

何某ゆめ

アメリカの友達の「なりなよ!」からの「なるかあ!」で翌日には申し込んでるの、すごいからね。 アメリカンだなあ。

――こうして聞くと、ゆめさんとユキさんは「応援メッセージに後押しされたから」、ベルさんとポメさんは「気楽に参加できそうなオーディションだったから」という部分が、それぞれ応募を決めた理由として大きそうですね。

https://twitter.com/fuyusuzuberu/status/1412362635119448064

一次選考で送る「音声」はスマホ録音でもOK?

――先ほど「音声を送った」というベルさんのお話がありましたが、次はこの一次選考についてお聞きできればと思います。募集要項には「3分の音声データ」という記載がありますが、差し支えなければ、どのような音声を送ったのかを教えていただけますでしょうか。

久遠ユキ

ぜんっぜん覚えてないです!

何某ゆめ

データ残ってるかな……と思ったけど、残ってないや。

冬鈴ベル

結構……割と……覚えてます……。

歌与ポメ

覚えてる……な……。

冬鈴ベル

一次選考に送る音声の説明に「自己紹介・歌・特技ジャンル問わず」って書いてあったのを見て、ベルは自己紹介と歌が必須だと思い込んでたんですよ。

歌与ポメ

あー! わかるわかる!

冬鈴ベル

だから「歌も録らなあかんのやー!?」と思って、歌なんて録ったことがないのでめっちゃ悩んだんですけど……。

前半の1分くらいで自己紹介をして、後半の2分くらいを歌に当てるような形で、音声を録って送りました。

――ちなみに、歌は何を歌ったのか聞いても……?

冬鈴ベル

えーと……『化物語』の、八九寺真宵ちゃんの曲を……。

――『帰り道』でしょうか。

冬鈴ベル

あ、それそれ! たまたまそのとき聞いてて!

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