2024年9月7日。バーチャルアイドルユニット「épeler(エプレ)」の1stワンマンライブが、六本木クラブCUBEで開催された。
柚子花(ゆずは)、ChumuNote(チュムノート)、Flare Rune(フレア・ルーン)の3人で構成されるépelerは、完全セルフプロデュースのVTuberアイドルユニット。メンバー全員が過去に事務所やサークルへ所属していた経験を持ちながら、現在は各々が無所属の個人勢VTuberとして活動している。
つまりこのワンマンは、「3人組の個人勢VTuberアイドルユニットが主催する有観客ライブ」だと言える。一言でまとめるとさらっとしているが、そう簡単に実現できることではない。企業や事務所に所属していない「個人」でのユニット活動ということは、イベントを開催するために必要なすべての作業を、基本的には自分たちだけでこなさなければならないからだ。費用の工面はもちろん、事前の準備や当日の運営もどうするか考える必要がある。
しかも、彼女たちは「アイドル」だ。運営面の準備を進める一方で、ライブで披露する楽曲を制作し、セットリストとステージの演出を考え、ボイストレーニングやダンスレッスンをこなし、当日に向けてパフォーマンスを仕上げなければならない。ステージに立つパフォーマーとしてだけでなく、イベントを形作るプランナーとして、そして運営に携わるプロモーターとして、ライブの実現のために必要なすべての準備を少人数で進めなければならないのだ。
だが、彼女たちはやり遂げた。本記事は、そんなépelerの3人がファンと共に実現した1stワンマンライブ「飛躍」の現地会場の様子を記録した、ライブレポートである。
執筆・編集・撮影 / けいろー(@K16writer)
オープニングDJ
開演前のオープニングDJを務めたのは、BΣretta Crossrain(ベレッタ・クロスレイン)1。自身も9月2日に有観客コンサートを開催したばかりの、ゴシック&ダークな音楽性が魅力のVSingerだ。
出演後に彼女が投稿したポスト2によれば、今回は「バーチャルアイドル」と「3」をテーマにセットリストを組んだそう。3人組ユニットとしての再始動が記憶に新しいKMNZの門出の楽曲「VERSE」に始まり、épelerの3人のオリジナル曲を含む音楽をノンストップで展開。最初こそ様子をうかがっていた観客たちも徐々に声をあげるようになり、その熱は瞬く間にフロア全体へと広がっていった。
続いて登場したのは、DJ・ChumuNote。見慣れたちびキャラの可愛らしい姿でターンテーブルに向かい、アップテンポナンバーを次々に流していく。
バーチャルアイドルやVSingerの楽曲はもちろん、『学園アイドルマスター』をはじめとする旬の音楽も選曲。épelerメンバーのオリジナル曲に加えて、ChumuNoteが「ふりゃの歌ってみたで一番好きな曲」と語りながら流した「熱愛発覚中」のカバーも特筆すべきポイントだろう。ほかにもBOOGEY VOXXの「D.I.Y.」など複数の楽曲で大きな歓声があがっており、ライブのオープニングとしてはアツすぎるDJタイムとなった。
M1.「Life After Dreams」
💛💙💜
ライブ本編の1曲目は「Life After Dreams」。イントロに合わせて手を叩いていた観客たちに答えるようにして、ステージ上に現れたépelerの3人が呼びかける。
みなさんこんにちはー! épelerです!
épelerワンマンライブ『飛躍』、盛り上がっていきましょう!
サイリウム、コメント、見えてるよー!
デビューアルバムの収録曲であり、過去のオンラインライブでも繰り返し歌われてきた定番曲で始まった、1stワンマン。ステージに立つ3人の歌とダンスのキレは言わずもがな、手を振り、声を出して盛り上がる観客の一体感にも圧倒される。épelerの3人にとっても、会場に集ったえぷらーにとっても念願となるワンマンの1曲目として、オープニングDJによってすっかり熱を帯びていた空間に火を灯すような幕開けとなった。
M2.「未来図」
💛💙💜
自己紹介とMCを挟んで、2曲目は「未来図」。
1stシングルとしてリリースされた楽曲であり、結成1周年を記念して行われた2ndオンラインライブの表題曲。そして、épelerが1年間にわたる休止期間に入るタイミングでMVが公開された曲でもある。そのような背景から特別な思い入れがあるのか、どこか真剣な眼差しで聞き入る人の姿も散見されていた。
M3.「Pride Bride」
💛💙💜
間髪を入れず、3曲目「Pride Bride」へ。疾走感あふれるエレクトロサウンドに乗って盛り上がれる、épeler屈指のコール曲だ。
ここまでの2曲でもすでに大盛りあがりだったが、「ちゅーむ! ゆずは! ふーれーあ!」のコールによって、さらに熱気が渦巻く空間へと変貌したフロア。推しの名前を、大勢で一緒になって叫ぶことで、「ライブの“現場”に来ている」ことを改めて強く実感した人もいたのではないだろうか。
実際、ステージに立つépelerの3人にも似たような感覚があったのか、この後のMCでは
このために生きてたァ~!
最高ですねー!
この“ワンマンライブ”っていう、全員がépelerのことを知ってる場で歌えるのが、本当に嬉しい!
と、口々に話していたのが印象的だった。