『ディスクロニア:CA』体験版を先行プレイして印象に残った、4つのポイント

VRゲームの魅力は、「思わず声を上げてしまうような体験ができる」ところにあると思う。

いや、だからと言って別に、「普通のゲームじゃ、声を上げるようなことってないよねー」などと言うつもりはございません。僕自身、RPGで思わぬ展開に驚いて「マジかぁ……」と声が出たり、ノベルゲームで嗚咽を漏らすほど泣かされたり、FPSで倒されて「チクショーッ!!」などと叫ぶことは(たまに)ある。

友達の家で初代『スマブラ』を遊んでいた頃から、僕らは「ゲーム」に夢中になって心を動かされていたし、今だってそうだ。でも一方で、1人でコントローラーを握って画面に向かうことが多い最近は、ゲームに対して思わずリアクションしてしまうような場面もすっかり減ってしまったように思う。リアルで集まってお酒を飲みながらマリカーとかで遊びたい……遊びたくない……?

第三者が見れば淡々と作業をこなしているようにも感じられそうな、自宅で1人で遊ぶ「ゲーム」の体験。ところが最近になって、1人で遊んでいても思わず「ウワーッ!!」とか「ッシャアオラァ!!」とか「にょわ〜!」などと、声を上げてしまうタイプのゲームがあることに気づいた。

――そう、VRゲームでございます。

周囲を見回すために首を動かしたり、ゲーム内のアクションのために両手を振り回したり、時にはジャンプしたり、しゃがんだり。基本は座った状態でコントローラーを持つか、あるいはマウス&キーボードに手を添えてプレイするタイプのゲームとは異なり、VRゲームには身体性を伴う「体験」ができるタイトルが多い。

身体を動かすと、声が出る。
声が出ると、なんだか不思議と楽しくなる。

視界いっぱいに広がる現実離れした景色に感嘆の声を漏らし、立ちはだかる謎に唸り声を上げ、全身を動かしての操作がうまくいって快哉を叫ぶ。そんな心躍る「体験」を、今月発売予定の最新VRゲーム『ディスクロニア:CA』の体験版で味わってきました。

目次

『ディスクロニア:CA』とは

MyDearestとイザナギゲームズが共同で手掛けるVRゲーム『ディスクロニア:クロノスオルタネイト』

公式サイトの説明によれば、ゲームジャンルは「VRノンストップ捜査アクション / シネマチック捜査アドベンチャー」。いずれの表現にも「捜査」という単語が含まれていることから、ミステリーや推理の要素を主軸にしたアドベンチャーゲームであることがうかがえる。

ただ、どうやらそれだけではないらしい。「アクション」や「シネマティック」というワードから推測するに――わざわざ2つの表現でジャンルが説明されていることからも――おそらくは、ゲーム中の捜査や推理の場面に別の種類の「体験」も含まれているのではないだろうか。

以前からそのような匂わせはあったが、最近になって立て続けに公開された作品紹介動画が、その「答え合わせ」になっていた。

1つが、こちらの動画。

「バーチャルかくれんぼ」と聞くと何ともほんわかしたイメージがこみ上げてくるものの、やっていることはステルスゲームのそれだ。「隠れる」動作も含むアクション要素てんこ盛りの、作中の脱出パートが紹介されている。

隠れて、しゃがんで、走って、投げる。どれも従来のゲームではおなじみのアクションだが、本作はVRゲーム。コントローラーのボタンを押すだけの「操作」ではなく、自分の身体を使っての「動作」が欠かせない。それだけでも、今までの「推理ゲーム」とは一線を画していると想像できる。

他方で、もう1本の紹介動画もまた別の意味でおもしろい。

いわゆる「裁判パート」が紹介されているが、その進め方は「犯人になりきる」というもの。選択肢のコマンドの中から証拠品を突きつけるのではなく、実際に現場を“再現”することが求められるのだそうだ。

もちろん「犯行を再現する」こと自体は、推理ジャンルの作品では別に珍しいものではない。集めた情報をもとに犯人の足取りをたどり、犯行を順々に解き明かしていくパートは、むしろこの手のゲームの「見せ場」とも言える。例を挙げるなら、『ダンガンロンパ』シリーズの「クライマックス推理」がそれに当たるだろう。

しかし繰り返しになるが、本作はVRゲームだ。コマンド操作でちょちょいのちょいでは終わらず、考えをまとめながらも手を動かし、空間に、世界に、自らの動作でもって働きかけなければなない。あくまでも紹介動画からの情報なので、半分くらいは自分の想像になる……けれど、とにかく徹底してプレイヤーを「動かす」ことを重視しているように感じた。

その想像も、今となっては割と当たっているような気がする。というのも、実際に体験版をプレイしてみた感想が、「めちゃくちゃ“こっち”を動かそうとしてくるじゃん!?」というものだったからだ。

体験版を遊んで印象に残った、4つのポイント

プレイしたのは、『ディスクロニア:CA』の先行体験版。当初は「ゲーム最初のチュートリアル部分かな?」と思ったのだけれど、一通りプレイしてみた印象としては、おそらく体験版用に調整された内容だったんじゃないかしら。

プレイヤーが操作するのは、未来の世界の楽園都市に特別監察官として就任した主人公。ゲームをスタートすると石畳の広場に降り立ち、謎の声に従ってコントローラーを操作すると、視界が暗転。都市に住む全住民の夢を統合した世界、“拡張夢”へと空間が切り替わる。

ここからは、体験版を遊んでみて特に印象に残った箇所をポイント別に見ていこう。

① “拡張夢”の空間がすごい!

この“拡張夢”の空間に、まず驚かされて声が出た。

公式の動画で「5000匹の魚群パノラマが圧巻!」と紹介されていたため、「そういうのがある」とは知っていたのだけれど、実際にVR空間に入って見てみると想像以上だった。

色とりどりの魚群が視界いっぱいに広がり、その美しい光に思わず声が出た。しかもそれが、Quest 2のスペックでぬるぬると動いているのだからびっくりする。たしかにこれは売り文句に偽りなく、「圧巻」の一言だ。

ちなみに、文章だからこうやって冷静に書けていますが、動画だと「しゅんげえええええ!!」とか叫ぶだけのオタクになってます。

② テレポート移動もあるから、VR酔いしやすい人も安心!

個人的に嬉しかったのが、「移動」の操作方法が2種類あること。

左手コントローラーのスティック操作でぬるぬるサクサクと自由に動き回れるほか、テレポート移動もできるのだ。

右手コントローラーのスティックで「投げ縄」のように移動したい場所を選択して、スティックを元に戻すと、その場にパッと移動できる。三半規管を刺激せずに空間の中を動き回れるため、特にVR酔いしやすい人にとってはありがたい仕様だ。

③ 身体を動かしながらの「捜査」が楽しい

実のところ、体験版のボリュームはあっさりめ。本作のキーパーソンらしい“博士”の家で、いくつかの部屋を散策しながらパズルを解き明かしていく内容になっている。

ところがどっこい。当然ながら、ただ黙々とパズルを解くだけのゲームでは終わらない。

このパズルパートだけでも、前述の「めちゃくちゃプレイヤーを動かそうとしてくる」意図を感じさせる内容になっていたのだ。「操作」による捜査ではなく、「動作」による捜査……とでも言えるだろうか。

足元にある物を拾うためにしゃがみ、部屋で見つけたものをインベントリから取り出す動作を繰り返し、手を伸ばして物を置く。あくまでもパズルなのでやたらめったら身体を動かすアクション要素があったわけではないが、逆に「シンプルなパズルですらこれだけ動く必要があった」とも言える。

しゃがむ必要があった際には、「へっへっへ……さっすがVRゲーム……動かそうとしてきますねぇ!」などと思いながら、自室で1人、嬉しそうにしゃがんで、虚空へと手を伸ばしている自分がいた。コントローラーをベッドにぶつけそうになりながら。しかしそれもまた、VRの醍醐味である。

ちなみに、「しゃがむ」動作はコントローラー操作でもできる。視界の隅に浮かぶポップアップのその説明に気づいたのは、実際にしゃがんで、アイテムを拾ったあとだった。わぁい。

④ オープニングがヤバい

ヤバい。

別に誇大表現としてフォントを大きくしているわけではなく、「こればっかりはBIGな太文字にしないとむしろ嘘では??」と思わずにはいられないくらいにマジでヤバかった。

オープニングへの導入にもゾクッとさせられたし、空間映像ならではのこちらに干渉してくるかのような演出に、「ウワーーーーッ!!!!」とか「ヒョオオオオオオオ!?!?」とか、マジで声に出して叫んじゃってた。いや、あんなん見せられたら、そりゃあ声も出ますわ。

個人的に最近「ヤバい」と感じた映像としては、VRならバーチャルサンリオピューロランドの「Nakayoku Connect」、ゲーム映像なら『ウマ娘』の「GIRLS’ LEGEND U(シナリオの“特別なライブ”版)」が挙げられるが、そのレベル。今回の体験版にはセーブ機能がないのだけれど、もう1周してでももう1回見たくなるくらいだった。

というか白状すると、もう1周しました。もう1回見ました。しゅごい。

映像としてのインパクトが想像以上で、「そういえばこの主題歌、すいちゃんじゃん!!」と、真っ先に反応するべき部分が意識の彼方に吹っ飛んでしまっていた。すいちゃんはいいぞ。

すべてにおいて期待感が高まる「体験版」

そんなこんなでざっくりとではありますが、『ディスクロニア:CA』先行体験版の感想でした。パズルの内容やゲーム展開については、Moguliveさんやファミ通さんの記事に詳しく書かれているので、そっちを読んだほうがピンとくるかも。

ボリュームにして30分程度、主にパズルパートのみの内容なので、本作で得られる「体験」としては、きっと全体のほんの一部に過ぎないはず。にもかかわらず、これだけ身体を動かし、思わず声が漏れ、あれやこれやと興奮させられ、全力で楽しんでしまっている自分がいた。

短時間でこんなにも濃密な「体験」をしてしまったら、必然的に本編への期待も高まろうというもの。だって、動画で紹介されていた「かくれんぼ」も「裁判」も、まだこの身で味わえていないのだから。しかも唯一「動画で見たやつだ!」となった“拡張夢”の空間が、映像で見る以上にワクワクドキドキさせられるものだったことも大きい。肩透かしを食うような要素は一切なく、すべてにおいて期待感を高められる「体験版」だったように思う。

Meta Quest 2対応VRゲーム『ディスクロニア:CA』は、9月23日に第1章がリリース予定。これから全3章構成で順次リリースされるほか、2023年には全エピソードをプレイできるNintendo Switch版も発売予定なのだそう。気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいな。

あ、それと、僕が初見で「ウワアアアアアアア!!」とか「ショオオオオオオオオオオ!?」とか叫んでいる動画も同時投稿しておりますので、もしよかったらあわせてどうぞ。いわゆる「ゲーム実況」をするのは初めてなので、お手柔らかによろしくお願いいたします!

関連リンク

©MyDearest Inc.
©Project DYSCHRONIA.

【サムネイル】ディスクロ体験版

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この記事を書いた人

けいろーのアバター けいろー バーチャルライター

フリーライター。VTuber/VR関係のメディアとしては、MoguliveやVtuber Postに寄稿。インタビューやライブレポートなどを担当している。その他実績として、コミックナタリー、ふたまん+、SUUMOタウン、ぐるなび みんなのごはん、『初音ミクエキスポ』公式パンフレット、双葉社『EX大衆』VTuber特集、日本看護協会出版会『創造られたヒロイン、ナイチンゲールの虚像と実像』など

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