2022年10月。活動3周年を迎える直前に、念願の3D化を果たしたVTuber・常世モコ(@moko_tokoyo)。
「映画」を軸に2019年から活動を続けているVTuberで、『金曜ロードショー』の同時視聴配信が名物。映画ライターとしての活動実績もあるほか、最近は多方面で案件をこなす人気VTuberとしての地位を固めつつあります。
当サイトでは今回、そんな常世モコさんにインタビューを実施。
自身も「濃かった」と語るほどに充実した3年目のVTuber活動を振り返りつつ、着実に登録者数を増やしつつあるYouTube配信の戦略や、ついにお披露目となった3Dモデルのお話も。約1時間に及んだ3周年記念インタビューの模様をたっぷりとお届けします。
インタビュー・執筆・編集 / けいろー(@K16writer)
登録者数10,000人を達成し、世界が広がった3年目
――まずは自己紹介をお願いします。
常世モコ:
映画大好きVTuberの常世モコです! 元社畜で、社畜時代に映画やVTuberさんに救われていたことから、VTuberになりました。なんと、もうすぐ3周年を迎える個人勢のVTuberです。よろしくお願いします。
――あっという間に3周年ですね。こうしてインタビューをさせていただくのも3回目となります。初めてお話をうかがったのが2020年の5月ですので……いや、本当にあっという間ですね!
常世モコ:
2020年5月……! 遠い目をしてしまいました(笑)。
――「3年」と言えば、会社員で言うところの「とりあえず3年」をVTuberとしても乗り切った格好になりますが、振り返ってみてどんな3年間でしたか?
常世モコ:
たしかにそうですね!?(笑) 振り返ってみて……あっという間だけど、濃かったですね。あっという間ではあるけれど時間が過ぎるのが早かったというわけでもなくて、なんだか不思議な感覚があります。
最近読んだ本に買いてあったのですが、「新しいことをしていると時間を長く感じる」「子供のほうが時間を長く感じるのは毎日が新鮮だから」らしいんですよ。それで言うと、たしかにVTuber活動は新鮮なことが多かったので、その分の濃さを感じていたのかなと。……めっちゃ家にはいたけど(笑)。「こんなにも引きこもっていたにもかかわらず、すごくいろんな経験ができた」のはなんだか不思議な体験でした。
――ひとつひとつ振り返ってみても、本当にいろいろな活動をされていましたものね。直近の1年以内で何か印象的だった出来事はありますか?
常世モコ:
6月に登録者数10,000人を達成できたことですね。1周年を迎えた頃に「登録者数10,000人を目指します!」と言いつつ、正直「無理かな……」と思う部分もあったのですが、それを2年越しに達成できたのは嬉しかったです。
登録者数が5,000人を超えたのがちょうど去年の夏くらいなのですが、それ以降は案件やお声掛けをいただける機会がだんだん増えていったので、それがまた新しい刺激になっていたのかなと思います。この1年間くらいはほぼ毎月のように何かしらの案件やイベント出演の機会があって、すごく充実していました。見てくれる方も増えたし!
――お誕生日配信で「1年前と比べて今はどうなっているか」というお話をされていましたが、「2年目と比べて3年目はさらに濃密な1年になった」と断言できるくらいには充実していた、ということでしょうか。
常世モコ:
うん、そうだと思います。以前のインタビューでもお話しましたが、私は「世界が広がる感覚がすごくおもしろいな」と思ってVTuber活動をしていて。
実際、3年目は案件が増えたり、ほかのVTuberさんとのコラボがあったり、外の世界とのつながりができたりと、本当に「世界が広がっている」感覚があったように思います。ほかにも、去年の年末には2曲目のオリジナル曲を出したり、今は3Dモデル関係の準備をするなかでクリエイターさんとご一緒する機会もあって、そういった部分でも「広がっている」感がありましたね。
――VTuber活動を通して得られる周囲の人との関わりも、すごく刺激的な体験となっているわけですね。「案件が増えた」というお話がありましたが、特に印象に残っているものはありますか?
常世モコ:
ひとつおもろかったのは、ジェラート屋さんとのコラボですね。というのも「食レポ配信をしてください」というPRに加えて、「ジェラート屋さんの実店舗に設置したサイネージに出現して接客をする」という企画があって。
北海道のジェラート屋さんにバーチャルの姿で上陸させていただいたんですが、そこでのお客さんとのやり取りがおもしろかったんですよ。VTuberのことをぜんぜん知らない方から「AIですか?」とか話しかけられたり、子供たちから「プリキュアみたーい!」とか言われて、「あっ……! 嬉しい……!」ってなったり(笑)。知らない人にVTuberのことを伝えるのは難しいなと思いつつ、「うん、人間だよ〜」みたいな感じで接客していました。
それ以外の案件としては、プラネタリウムでナレーションをさせていただいたり、直近だと『VTuberスタイル』さんでコラムを書かせていただけることになったり。本当にいろいろとやらせていただいてるな……という感じです! ありがたいかぎりです。
――改めて振り返ってみると、本当に多方面で活躍されていますね……!
常世モコ:
思ったよりもいろんなことができているし、ジェラート屋さんの件とか、あとはバーチャルシネマさんとか、実験的な試みにも呼んでいただけているのはすごく嬉しいです。どんどん新しいことに巻き込んでもらいたいですね。
――普通に会社員として過ごしていたら、「プリキュアみたーい!」なんて言われる機会はそうそうありませんものね(笑)。「VTuberのことを知らない相手と『VTuber』として接する」というのも独特な体験だったのではないかと思いますが……どんな感じでしたか?
常世モコ:
ジェラート屋さんでの接客については……まずやっぱり、「なにこれ?」みたいな反応をされますね(笑)。その時は2Dでの接客だったこともあって、身振り手振りでコミュニケーションをすることもできなかったから、とにかく伝えるのが難しい……! 「アニメ……なの?」「これはリアルタイムのアニメですか?」「え、これ喋ってる? 人間?」みたいな(笑)。
最近、電車の駅にAIの案内版が設置されていることがあるじゃないですか。東京駅とかにある、「トイレは右側です」みたいなアナウンスをしているサイネージ。私もあんな感じで「サイネージに上半身が映っている」ような状態だったので、似たようなものだと思われるんでしょうね。
言われてみればそうですし、「あ、外から見るとそう見えるんだ」っていうのは発見でした。あと、VTuber文化って、思ったより特殊なところなんだなと。3年目ということもあってか、「VTuber文化に浸かっていると当たり前に感じられることが、実は当たり前じゃない」と改めて気づかされましたね。
――でも「デジタルサイネージのAIと勘違いされた」ということは、そこにVTuberの活躍できる余地がありそうですよね。
常世モコ:
このあいだもコンビニの「バーチャル店員」みたいなニュースがありましたよね。あれを見た時も、「あー(私にも)できそうだなー」って思いました。そうやって遠隔で仕事ができるようになって、いろいろな境遇の方が活躍できる場所になったら良いですよね。
私自身も……なんでしょう、VTuberであることで救われている……じゃないですけど、家に居ながらこんなにいろんな刺激をもらえたり、世界中の人と話せたりすることが、本当にすごく良い経験になっている実感があります。「おもしろい時間を過ごせて嬉しいな」と。
朝活によって「人間らしい生活」を取り戻した元社畜
――話は変わりますが、VTuber活動を通して得られたスキル、あるいは学びになっている活動などは何かありますか?
常世モコ:
最近は3D関係のことがめちゃくちゃ難しくて……! 多分、私がめんどくさいことをやろうとしちゃってるからだとは思うんですけど、いろいろ大変でした。
「こうしたい!」というイメージが結構あって、でもそれを実現するためにはいろんな知識が必要で。まだまだ勉強中なんですけど、3Dの世界は奥が深すぎて「これはおもしろいし、ハマる人がめちゃくちゃたくさんいるのわかる〜!」とか思いながらやっていました(笑)。
あとはなんだろう……あ、活動を続けているうちに、PowerPointでサムネイルを作るのはうまくなったと思います(笑)。私、サムネは全部パワポで作ってるんですけど……前よりは上手に作れるようになったなと!
――「パワポでサムネを作る能力」ってなかなかに特殊な感じがありますね(笑)。そういえばボイトレに通うようになったと話されていましたが、歌はこの1年間で上達した実感はありますか?
常世モコ:
練習してはいるんですけど、自分の上達を実感するのって難しくて。だから、歌枠をした時に「前よりうまくなったね!」って言われて「あ、そうなんだ!」ってなる感じですね。「まだまだだなぁ」って思いながら続けています。
あと、歌とはまた別ですが、前よりもはっきりと喋れるようになった気がします! さすがに3年も続けると、配信でとんでもない時間を喋り続けてきたはずなので、前よりはマイク乗りしやすい声で喋れるようになったんじゃないかなと。自分調べですが(笑)。
特に雑談については、今は「何時間でも喋れる」って思います。自分では得意だと気づいていなかったけれど、やってみたら「得意かもしれない」ってVTuberになってから気づきました。朝活を通して「3、4時間ずっと喋ってもぜんぜん大丈夫!」って思えるようになりましたね。あとそれで言うと、一番できるようになったことは、「朝、起きること」かもしれないです(笑)。
――あー! なるほど!?
常世モコ:
いやあ……私、ほんっとうに朝が苦手で。実は活動1、2年目の時にも、朝活をやろうとしたことがあったんですよ。ただ、あまりにも朝が苦手すぎて、朝活が超辛かったんですよね(笑)。「活動の中で一番辛いのが朝活だ」「これはもう、朝起きられなすぎるから無理やわー」と思ってたんですけど……。
今年の4月くらいから「(登録者数)10,000人に向けて気合いを入れよう!」と思ってがんばって朝に起きるようにしたら、「意外と起きれるじゃん」って気づいたんです。「週末に寝すぎると、1週間ずっと生活リズムが崩れる」ってよく言うじゃないですか。あれ、本当なんだなと。土日にちゃんと早起きをすると1週間ちゃんと起きられることを実感して、人間らしい生活を手に入れました(笑)。
だから今日も――リモートワークなので労働時間は自由なのですが――朝7時から働いていました。そうやって最近は、「早く起きて、早く働いて、早く退勤する」という流れができていて、ちょっと嬉しいですね(笑)。
――すごい……! 「VTuberとして活動を続ければ続けるほどに、人間らしさを取り戻していった」っていうことじゃないですか!
常世モコ:
本当ですね(笑)。だから毎日、笑ったり泣いたりして、活動して、新しいこともいろいろ経験させてもらって、早起きして、みんなに「ちゃんとご飯食べろ」って言われて、社畜でボロボロだったところから、だんだん人間らしくなっていった――っていう感じがしました。この3年間で。
ただ、あまり食べないので、いまだに食生活についてはよく指摘されます。でも、それこそ案件で食べ物も支給されることもあるので助かってますね(笑)。
――朝活によって生活力を取り戻せたということは、今度は「食」系のコンテンツを出せば食生活も改善される可能性が……?
常世モコ:
たしかに! 食生活、良いかもしれない。「一緒になんか食べる」とか、証拠写真を出して「今日はこれをちゃんと作ったぞ!」みたいな(笑)。
朝活を始めたのも、すっごい長い目で見たときに、私自身も健康じゃないとダメだし、あと「視聴者にも健康でいてほしいな」って思ったのがきっかけだったんです。「どうしたら視聴者を健康にできるんだろう?」って考えたときに、「やっぱり朝活なんじゃないか……?」とか思い始めて(笑)。
朝にちゃんと早く起きて、みんなで朝ご飯もちゃんと食べて、朝から楽しい気持ちになって……。配信で聞いてみたら、「朝活を聞きながら家事やってるよ」って人がいたり、「ウォーキングしてます」って人がいたり……本当に健康的! 「モーニング食べてます」とか「今から午前中の回で映画を観に行きます」とか聞けて楽しいですね。
「視聴者にも健康でいてほしいな」と思って始めた朝活でしたが、よく寝過ごしちゃう私が休日の午前中から動けてハッピーになっているので、今は自分が一番ありがたく感じています(笑)。
――もともと『金曜ロードショー』の同時視聴配信を続けていて、そこにさらに日曜朝の「寝起き5秒で即配信」の定期配信も乗っかってくるとなると、傍目から見ると大変そうに感じていたのですが……でもここまでのお話を聞くかぎりだと、逆に健康になっていらっしゃいますね?
常世モコ:
生活リズムは良くなりましたね! ただ、その2つを「固定配信」としちゃうと、ほかで遊べる配信枠が少なくてなんか寂しい気はするんですけど。でも一方で、考えなくても配信できるように習慣化されているので、固定の枠があったほうが続けやすいとは思いますね。時間が来たら、「あ、配信しよ」ってなるので。習慣ってやつですね、これが。
――ほかに朝活をやっていて良かったことはありますか?
常世モコ:
登録者数がめちゃめちゃ増えました! 1回の朝活で、登録者さんが100人とか150人……多いときは200人も増えるんですよ。
――そういえば、2021年末のインタビューでは3年目の目標を「登録者数10,000人」と仰っていましたが、その目標を達成するどころか、現時点で15,000人を突破しているんですよね。ここまで登録者数が伸びたのは、やはり朝活の影響がかなり大きかったのでしょうか?
常世モコ:
圧倒的に朝活ですね。それ以外は基本、ジワ伸びです。何かの動画や配信でバズることがないので、私の登録者数の増加グラフって、ずーっときれいな「比例の図」みたいな感じなんですよ(笑)。最近――ちょうど4月くらいから――ちょっとだけ傾きが上がった……かな? という印象もありますが。
もうひとつの要因としては、もしかしたら「広告」もあるかもしれません。みなさんのいただいた資金から、出せる分はちょっとだけ広告を出して、それで見つけてくれた方も結構います。でも「爆伸び要素」っていうのは本当にないですね。基本的には、じわじわと。「1日の伸びが、前よりもちょっと増えた」っていう感じです。
――なんだか見ていて安心感と安定感があるというか、すごく理想的な伸び方であるように感じます。
常世モコ:
「バズっていないからこそ、一人ひとりの視聴者のことがわかる」っていう良さもありますね。もしもバズって一気に視聴者さんが増えちゃったら、一人ひとりを認知することって多分できないと思うんです。
私はみんなの名前を覚えるのが結構好きで、「またこうやって知ってくれた人が増えたな」「今日は〇〇さんと△△さんが来てくれたな」ってわかるくらいなので(笑)。今の伸び方のほうが身の丈に合っているかもしれません。
念願の3Dモデル!やりたいことは「細かすぎて伝わらない映画モノマネ」
――ここからは3Dモデルについてうかがえればと思います。当初はラフな部屋着でVTuber活動を始めたモコさんも、やがてパリッとしたスーツ姿でプレゼンを行うようになり、今や「マジ天使」なアイドル衣装に身を包み、そしてついに3D化を実現!というところまで来たわけですが――この3Dモデル制作の経緯についてうかがってもよろしいでしょうか?
常世モコ:
新しいことを追い求めていくなかで、「やっぱり2次元の体だけだと、できることに限りがあるな」と思ったのがきっかけのひとつです。3次元の体があれば自分の動きも伝えられますし、3Dモデルがあれば参加できるイベントも幅も広がります。個人的にもいろいろやってみたいことがあったので、それを実現するために――というのは大きかったですね。
あとはやっぱり、「3D化」って、VTuberにとって叶えたい夢としてあると思うんです。私も漠然となってみたいとは思っていたので、「3年目こそは3Dになりたいな」と。それで、今年の初めにはもうモデラーさんを探して――パパとママを探して旅をしてですね――やっと見つけて、その方にお願いすることになりました。
――漠然とではあるものの、モコさん自身も以前から「いつかは3Dになりたい」という気持ちがあったわけですね。
常世モコ:
「細かすぎて伝わらない映画モノマネ」とかやりたい、みたいな(笑)。あとは通常の配信でも、感情を伝えるための表現の幅が広がるんじゃないかなと。視聴者さんに自分の感情を伝えたいときに、身振り手振りが加われば伝わりやすくなるんじゃないかと思って、3Dの体が欲しいと思うようになりました。
――6月には3D化のためのクラウドファンディングをスタートし、開始2時間で目標を達成。最終的には目標の約4倍もの支援が集まりました。
常世モコ:
本当にありがたいかぎりです……! もともと活動でいただいたお金はすべて活動に使っていて、3Dモデル代くらいは貯金がつくれていたんです。普段の活動でもギリギリ赤字にならないくらいの資金をみなさんからいただいていて、機材代として使わせていただいていました。そのうえで、コツコツ貯めていた貯金は3Dに使おうと。
ただ、「フルトラッキングしたいなー?」とも思いまして(笑)。それと「クラウドファンディング」というものにも憧れがあったので、ちょっとやってみようかなーと思って、機材代だけクラウドファンディングで募った格好です。結果、おかげさまでかなりの支援をいただけましたので、その分で「部屋着の3Dも作ってもらおう」とか「社長や豚も3Dにしよう」とか、好き勝手に使わせていただいた感じですね。
最近は「モコちゃんのおこづかいにしていいよ」って言ってくれる方もいるので、「ちゃんとご飯を食べる」といった生活面にもおかげさまでお金を少しずつ使えるくらいにはなりました。まとめサイトでは「時給3円」みたいなことを書かれてますけど(笑)。でもこうやってご飯も食べられているし、私は本業があるから死にはしないので!
――本題とは逸れますが、「大半のVTuberは赤字を積み重ねながら活動している」なんてお話も聞きますので、収支まわりのお話は詳しくお聞きしたい気持ちもあります……!
常世モコ:
ポイントは、細かく、支出と収入を、ちゃんとエクセルにまとめること! スプレッドシートにまとめて、月々の収支がマイナスにならないようにすることですね。あと、先々の大きな出費は表に書いておくこと。広告費やイラスト発注で使い切ったり、機材とかを買っちゃったりしないように気をつけています(笑)。
私はパソコンが壊れたときに強く実感したのですが、やっぱり活動を続けるためには資金が不可欠なんですよね。もちろん、応援の声も嬉しいし、無償でできるVTuberさんの応援もいろいろあります。ただ、物理的に大きな問題が発生したときに、資金がないと「活動をやめる」ことを選ばざるを得なくなる場合もあると思うんです。「家、引っ越さなきゃいけなくなっちゃいました」とか私自身も過去に経験があったので、「みんなに生かされてるな」と思っています。
――金銭的な余裕の有無で選べる選択肢が大きく変わってしまう場面って珍しくありませんし、やはりお金は大切だと改めて感じました。そして先ほどから、パワポにエクセル、スプレッドシートと、「VTuber」というよりは「ビジネスパーソン」的な能力がすごく生かされていそうな単語が聞こえていて、それもモコさんらしいと言えばらしいですよね(笑)。
常世モコ:
あはははは!(笑)いやいや、いち事務ですから……ぜんぜんそんなことは。OL力でがんばってます、はい(笑)。
――すみません、話が逸れました。3Dモデルの制作を決めて、クラウドファンディングを実施し、モデラーさんにお願いをして――という流れで進んだ3D化プロジェクトですが、実際に完成した3Dモデルを見たときの第一印象は……いかがでしたか?
常世モコ:
もう「感動」の一言ですね。かわいすぎて、ずっと見てました。いっぱい自撮りしました(笑)。
今はVRの機材を使わなくても3Dモデルを動かせるソフトがいっぱいあるので、通常の配信ではそれのお世話になるつもりですが、お披露目会や動画を撮る際にはVIVE Pro Eyeを使っています。で、先ほど「フルトラッキングしたいなー?」とお話したようにトラッカーをいっぱいつけていまして、その数が……。
えっと、1、2、3、4、5、6……。
……え??
……7、8……。
は、はち!?
8点トラッキングだと思います。
頭、腰、肘と、足……かな?
8ですね。はい。
――うおおおお……(震え声)。ガチのつよつよフルボディトラッキングじゃないですか!!
常世モコ:
もう「買っちゃえ買っちゃえー」みたいな感じで(笑)。
――てっきり足を動かすところまでかと思ったら、想像以上にガッチガチですね……!
常世モコ:
え!? そうですかね? ……あの、事情がわからなくて(笑)。どこまでやっていいのかわかんなくて……結構多いほうですかね?
――あの、正直、自分の身近でそこまで動く人はほとんど見たことが……(小声)。
常世モコ:
うそぉ!? 本当ですか!? そっかー……なんか、動いてみたら「やっぱ肘も欲しいなー」と思って、「買っちゃえ☆」みたいな感じで買っちゃったんですけど(笑)。
――いやー、3Dモデルでいろいろやっているモコさんの姿を見るのが、ますます楽しみになってきました。
常世モコ:
ただ、今はお披露目の準備でいっぱいいっぱいなので、まだVRChatとかはこの体で行ったことがないんですよね。これからもっといろいろな楽しみ方もしたいですし、11月には初めて3Dでイベントに出演させていただく機会もあるので、楽しみにしています。スタジオで収録があるそうなので、早速「3Dになってよかったな」としみじみ感じています。
――3Dの体でやってみたいことって、具体的には何かありますか?
常世モコ:
やっぱりまずは、さっきお話した「映画のモノマネ」みたいなくだらないやつですね(笑)。ほかにもイベントに出てみたり、3Dの世界でコラボしたりもしてみたいです。
あとは映画の感想を話すときも、今まで伝えられなかったニュアンスを伝えられるようになるのかなと。『となりのトトロ』のメイちゃんが言ってた「こーんなにおっきくて!」じゃないですけど、「こーんなにおもしろかった!」みたいな感じで(笑)。あれができるだけでも嬉しいし、動画作りにも生かしていけたらいいなと思います。
――「VRChat」という単語も出ていましたが、そちらの世界にも少なからず興味はある感じでしょうか。
常世モコ:
そうですね。VRの世界って、本当に奥深すぎて! 今はまだVRのことがわからなすぎるので、いろんな人にお話を聞いている感じです。
エンジニア系の方が多いからかもしれませんが、知識をオープンにして、共有して、「みんなで育てていこう」という雰囲気があるのがすごく素敵だなと思います。自分でプログラミングをするわけじゃないですけど、私自身もそういう知識や技術がわかるようになったらおもしろそうだなと。自分がやりたいことを形にするための知識をもっと身につけつつ、それに伴って、VRの民の方とも関われたら楽しそうだなと思っています。
――最近はVRChatに遊びに行くVTuberさんも増えている印象がありますし、3Dコラボとかも実現したら楽しそうですよね。
常世モコ:
そうですねー。ちょっとやりたいなと思ってます。3DのVTuberさん、ぜひお声掛けください!
「これからも常世モコのストーリーを見守っていただけたら嬉しいな」
――「いよいよ明日がお披露目配信!」というタイミングでインタビューさせていただいているわけですが、今の心境はいかがですか?
常世モコ:
めっちゃくちゃ緊張してます(笑)。というのも、視聴者がどのレベル感を期待しているかがわからなくて。自宅で3Dモデルを使っていろいろやるのは、やっぱり限界があるんですよ。今回はいろいろな人に協力してもらって、限界を超えられるようにがんばってはいるんですけど……。
それこそ、大手のVTuberさんの華々しいライブステージを見慣れている人が見たら「え?」ってなるんじゃないかな、って心配したり。「なんか思ってたんとちゃう」ってなったらどうしようとか……。でも、ずっと見てくれている視聴者さんには本当に見てほしいし、最近知ってくれた方にも見てほしい。うまく言えないんですけど……すごいめちゃくちゃです、気持ちが(笑)。
――楽しみにしております! お披露目配信を終えればいよいよ3周年を迎えるわけですが、4年目の目標はありますか?
常世モコ:
4年目……「もう3D化までしちゃって、あとなんだろう……?」みたいな感じになりかけているんですけど(笑)。やっぱり新しいことに挑戦し続けることが大事だと思いますし、あとはとにかく「続ける」ことですね。
登録者数などの数字の部分に関しては……あの、これは個人的な文句なのですが、登録者数って、1,000人を達成して、2,000人、3,000人、4,000人――とか刻んできたのに、10,000人まで行くと、いきなり「次は100,000人」みたいなことを言われてるのって、おかしくありませんか!?(笑)
「遠すぎるじゃん!」と言いたいんですけど、まずは20,000人。来年の4周年の時には、できれば30,000人を目標に目指したいです。「新しいことをやり続けていけば、新しく見てくださる方もきっと増えていくだろう」という希望的観測のもと、このまま歩みを進めていくことですね。
常世モコ:
「映画」に関わる部分で言うと、バーチャルシネマさんで同時視聴会をしたり、「映画大好きVTuber」としてコラムを書かせていただいたり、少しずつではありますが、映画との関わりも強化できてきています。引き続き、自分の好きな作品をいっぱい広めつつ、みんなを映画好きにするべく、映画に関わっていけたらいいなと思います。「3Dを使って新しいことに挑戦したい」という、ざっくりとした野望もあります。
あ、それと、いい加減に「金曜ロードショー」のTwitterにフォローされたいですね。一般の方もフォローしているアカウントなのに、私のことはぜんぜんフォローしてくれないから……ちょっと嫌われてるのかなって(笑)。金ローの同時視聴も2年以上続けているから、そろそろ認められたいですね……!
――3年、4年と続けていけば、もしかしたら公式に依頼のお声がけがあるかも……!
常世モコ:
続けたらなんとかなるかもしれない(笑)。でもそう思わせてくれるのも、応援してくれている方たちが本当にすごく良い人たちばかりだからなんですよ。……勝手に良い人だと思ってるんですけど(笑)。2Dのママとか、3Dのモデラーさんとか、クリエイターさんとの出会いも含めて、本当に人には恵まれてるなと。
――これからも応援しております! 最後に、ファンと読者さんに向けてメッセージをお願いいたします。
常世モコ:
本当に3年も続けられるとは正直考えてもいなくて、自分の3年後ってなかなか想像できなかったんですけど(笑)。びっくりするくらいたくさんの方に見ていただいて、すごくやりたいこともできました。やりたいかどうかもわからなかったこと、想像もついていなかったようなことにチャレンジできているのが、私としてはとてもハッピーです。
みなさんの応援のおかげなので、これからも常世モコのストーリーを見守っていただけたら嬉しいな、と思います。いつもありがとうございます!
――ありがとうございました!
映画大好きVTuber。
元社畜の個人勢で、2019年デビュー。
『金曜ロードショー』の同時視聴配信を毎週実施しているほか、YouTubeには130本を超える映画レビュー動画も。視聴者も一緒になって楽しめる企画系の雑談配信にも定評があり、インターネット老人会が開催されることもしばしば。