ホロライブとVRChatの関係を振り返ってみた――ロボ子さんからスモールアメ、火威青からフブみこめっとさんまで(2018~2025年)

【 VRChat 】あのぽこピーランドへふぶみこめっとさんで潜入!✨【ホロライブ / 星街すいせい】 – YouTube(2025/6/8)

ホロメンに限らず、大勢のVTuberや配信者が次々にVRChatの世界へと乗り込んだ2024年後半。年も明ける頃にはその流れも一旦落ち着きつつあるように見えたが、ホロライブは止まらない。

この記事を書いている6月時点でも、数々の企画や配信がすでにVRChatで行われており、新たなワールドも公開されている。水面下で何かを準備していそうな気配もSNSでの投稿から垣間見え、2025年後半もおもしろい動きがあるんじゃないかと楽しみでならない。

まずは、現時点で実施されたVRChat配信と企画を振り返っておこう。

サンリオキャラとのコラボステージも楽しめた「Sanrio Virtual Festival 2025」

筆者撮影(2025/3/9)

2月から3月にかけて開催された音楽フェスSanrio Virtual Festival 2025には、ムーナ・ホシノヴァさんが出演。ホロライブのタレントがサンリオVfesに出演するのは、初回の夏色まつりさん以来となる。

バーチャルサンリオピューロランドの特設ステージでムーナさんが歌ったのは、「High Tide」「Multiverse」「Nightmare」の3曲。3次元の空間演出が組み込まれたステージで、彼女の魅力であるダンスパフォーマンスを間近で堪能できた。

また、ぐでたまとクロミちゃんがゲストとして登場し、このフェスだけの特別なコラボステージが見られたのもポイント。ホロライブの話からは少々逸れるが、サンリオVfes2025では他にも「松平健×月島きらり×ハローキティ×シナモロール」といったコラボレーションが話題になっていた。次元も作品も画風も越えて、違和感なく同じステージに並んで立てるのは、VRの魅力と言えるだろう。

筆者撮影(2025/3/9)

「星街すいせい×VRChat×マクドナルド」というまさかのコラボ

【マクドナルド】#ティロリミックス 同時視聴しながらバーチャルポテト食べる!【VRChat】 – YouTube(2025/3/18)

マクドナルドが2023年にスタートした、アーティストのコラボレーション企画「ティロリミックス」。その第3弾アーティストの1人として参加した星街すいせいさんが、VRChatの特設ワールドで同時視聴配信を実施した。

「マクドナルド公式がVRChatワールドを公開する」「星街すいせいさんがVRChatで配信をする」という、VRChatユーザー目線でもホロリス目線でもインパクトのあるニュースが突如として発表されたことで、SNSでも話題になっていた様子。このワールドは6月中旬までの期間限定で公開され(※)、大勢が“聖地巡礼”をするべく足を運んでいた。

【お披露目/告知】VRchatで新3D衣装お披露目👗✨【ホロライブ / 星街すいせい】 – YouTube(2025/5/19)

他方で、2ヶ月の休暇から帰ってきたすいせいさんの復帰配信が行われたのも、まさかのVRChatだった。この時は、自室風のワールドで新衣装をお披露目している。

後述する「フブみこめっとさん」の3人でもワールド探索を行うなど、VRChatの世界を楽しんでいるように見えるすいせいさん。VRでは写真撮影にハマりつつあるようで、フォーカス機能を使いつつ、画角にこだわってカメラを操作する姿も見られている。

  • 2025年6月現在、VRChatワールド一覧から探してアクセスすることはできないが、ブラウザ上の直接リンクからであれば入ることのできる、いわゆる「限定公開」の状態になっている(ワールドはこちら)。

“世紀末”なエイプリルフール企画と、ムキムキマッチョなAdventメンバー

Something NEW is on the horizon… – YouTube(2025/4/2)

いろいろな意味で衝撃的だったのが、Adventのエイプリルフール企画だ。

エナジードリンクのCM風ムービーからスタートした配信だったが、問題はその後である。ライブステージに現れたシオリ・ノヴェラさん、ネリッサ・レイヴンクロフトさん、古石ビジューさんの3人が、あまりにも逞しすぎるビジュアルになっていたのだ。どうしてこうなった。

ウェイトリフティングとポージングによって筋骨隆々の肉体をアピールし、そのマッスルボディのまま重火器を使ったバトルが繰り広げられるなど、とにかく「カオス」の一言がぴったりだったエイプリルフール配信。この“世紀末”な世界Muscle Advent Bootcampは最大5人でPVPを楽しめるゲームワールドとして一般公開されており、VRChatユーザーの遊び場となっている。

NEW PRODUCT RELEASE! (NOT CLICKBAIT) MUST TRY! THE REVIEWS ARE CRAZY!!! – YouTube(2025/4/2)
VRChatは関係ないが、このビジュアルを使った「愛をとりもどせ!!」のMVは必見だ【YouTube

また、Adventのメンバー内でも、シオリさんとビジューさんは自身のチャンネルでVRChat配信をたびたび実施しており、VRの世界を楽しんでいるようだ。

シオリ・ノヴェラさんは2024年を振り返る配信を12月31日夜にVRChatで実施しているほか、2月には有名ワールド「Epilogue․ Chapter 1․」と、3月には同じく「Epilogue․ Chapter 2」を探索。後者についてはビジューさんと2人でワールドに足を運び、世界観について考察を深めたり、『キングダムハーツ』や『タイタニック』の名シーンを演じたりと、自由気ままな旅を楽しんだ。

一方の古石ビジューさんは、4月の誕生日配信をVRChatで実施。複数の3Dモデルに切り替えつつ、前年8月に3Dお披露目配信を実施した空間をリスナーに紹介した。彼女は6月にもこのワールドで配信をしており、VRChatユーザーには見慣れた、そうでない人には衝撃的な“一発芸”も配信ラストで披露するなど、この世界にもすっかり慣れつつあるようだ。

Totally Platonic Hangout with Beebs【VRChat – Epilogue Ch 2】 – YouTube(2025/4/1)
【VRCHAT】BIBOO WORLD UPDATE! – YouTube(2025/6/4)

EN+IDの10人で遊びまくり!VRChatのゲームワールドを楽しんだ誕生日配信

【BIRTHDAY COLLAB】My First ERBday + Surprises ~! 💄👧🍵🐱🐙⏳👁‍🗨🗿🎼🍂 #ERBday2025 – YouTube(2025/4/26)

4月に行われたエリザベス・ローズ・ブラッドフレイムさんの誕生日配信では、彼女を含む総勢10人がVRChatに集まる大型コラボとなった。

このコラボの注目ポイントとしては、これだけの人数のホロメンが集まり、VRChatで一般公開されているゲームワールドで遊んでいる点にある。VRChatのゲームワールドを使った配信をしているVTuberやストリーマーは多いが、「10人」という大所帯(しかもその全員が活動者)でゲームを遊ぶ光景はなかなかに珍しい。

しかも、これまでのハロウィンコラボで使われたような特設ワールドではなく、「ホロライブのタレントが、VRChatの一般ワールドで遊んでいる」というのもポイントだ。「ホロライブだから」と持ち上げる意図はないが、VRChatユーザーにとってはホロメンが身近に感じられる、ホロリスにとってはVRChatに興味を持つきっかけになる配信だと感じた。

それでいて、Smolverseのワールドで始まり、Smolverseのワールドで終わるのが良い。VRChatでの記念撮影ならどこで撮ってもいいはずだが、そこであえて写真を撮るためだけにワールドを移動し、あの講堂へと一緒に向かう。「集合写真を撮るならここだよね」という思いが共有されているような、みんなの居場所になっているようにも見えて感慨深い。

無限に眺めていたくなる「フブみこめっとさん」の仲良し配信

【VRChat】VRChatワールド「Tokyo Mood by BEAMS」Horror Versionへ挑む!!!!【#フブみこめっとさん】 – YouTube(2025/4/18)

当初はソロでのVRChat探訪が多かった、JPのホロメンたち。そんななか、まだ配信としては2回しか行われていないものの定番になりつつあるのが、「フブみこめっとさん」の3人(白上フブキさん、さくらみこさん、星街すいせいさん)によるVRChat配信だ。

4月の配信で3人がまず訪れたのは、Tokyo Mood by BEAMS。セレクトショップ・BEAMSの公式ワールドで、東京のどこかを思わせる夜の路地裏ワールドだ。

この時は期間限定で公開されていたホラーコンテンツが復刻中で、3人で協力してクリアを目指した。なんとか無事に現世に戻ってきた後は、フブキさんがソロ配信でも訪れていたワールド「まろの大樹 -maro’s cafe-」へ。隠れ家カフェでお茶会と料理を楽しんだ。

【VRChat】ついに行くぞ!!夢のテーマパーク「ぽこピーランド」へ!!【#フブみこめっとさん】 – YouTube(2025/6/8)

6月には、VRChatの有名ワールドPokoPeaLand(ぽこピーランド)を訪問。甲賀流忍者!ぽんぽこさんと、オシャレになりたい!ピーナッツくんの公式ワールドであり、たくさんのアトラクションを楽しめるテーマパークだ。

2時間半以上にも及んだ配信では、入り口のショップでアクセサリーを選んで着飾るところから始まり、ハンバーガーを作ったり、ジェットコースターに乗ったり、プリクラを撮ったりと、VRChatの遊園地を満喫。さながら「テーマパークに遊びに来た仲良し3人組」を眺めているような、賑やかな配信となった。

中でも撮れ高が多かったのが、本格派ホラーハウスとして知られるアトラクション「ピ虐研究所」での一幕だ。本気で怖がる3人の中でも、特にさくらみこさんの怖がりっぷりとリアクションはすさまじく、あえんびえん――もとい阿鼻叫喚な展開に、チャット欄も大盛りあがりだった。

【VRChat】ついに行くぞ!!夢のテーマパーク「ぽこピーランド」へ!!【#フブみこめっとさん】 – YouTube(2025/6/8)

補足として、すいせいさんは先日お披露目した3D衣装を、フブキさんはBOOTHで販売されているVRChatアバター向け衣装を、それぞれが着用していた点も付記しておきたい。青さんもBOOTHで購入した寝間着やハロウィンの仮装を使った配信をしていたが、このような通常衣装とは違ったコーディネートで動くホロメンを見られることも、ファン目線ではVRChat配信の魅力と言えそうだ。

ホロライブ×VRChatの現在地と、余白が生み出すクリエイティブ

もともとは黎明期の「バーチャルYouTuberとVRChat」の関係から始まったとも言える、ホロライブとVRChatの関係性。

その後、神話組から「オンラインで3Dライブやコラボを実現できる場所」としての役割を見出され、ENとIDのメンバーによって「季節イベントや記念配信を行う場所」として広く使われるようになり、巡り巡って、またJPのホロメンが遊び場として訪れるようになった。

それが、「ホロライブとVRChat」の現在地と言えるだろう。

当初こそスタジオまで移動する必要のない、自宅にいながらにしてアクセスできる便利なバーチャル空間として活用されつつも、そこには常に「ものづくり」へのリスペクトがあったように思う。ENやIDのメンバーのあいだで見られたモデラーの力を借りてのワールド制作もそうだし、青くんによる衣装紹介や、Vketでのクリエイターインタビューもそうだ。

象徴的なのはやはり、2021年に「VRChat」という選択肢を示した、ワトソン・アメリアさんの存在だろう。彼女たち神話組の試みは、その後続いたENとIDのメンバーの活動の幅を広げるのみならず、「ホロライブ」というグループ全体にも好影響を与えるものだったように思う。

🔎💛Until we Meet Again o7 ~ – YouTube

当時叶わなかった3Dライブを実現し、人と人とを結びつけ、さまざまな企画とワールド、そしてドラマを生み出した。それはホロライブのタレント同士の絆を強めるのみならず、クリエイターたちを巻き込み、創作意欲に熱を灯し、ワールドを訪れるファンたちの交流をも促してくれる試みだった。

もちろん、ホロメンたちの多岐にわたる普段の活動を俯瞰して見れば、VRChat配信は頻度も低く、あくまでも数ある配信の1つに過ぎない。実際のところ、目に見えてドラマが生まれやすいMinecraftやGTAなどの大型企画のほうが、注目度も人気も高いのが実情だと言える。

しかし同時に、非常に自由度の高い場所であり、そこが「VR」のプラットフォームであることは、VRChatの強みでもあるはずだ。

システム上で定められているエモートだけではなく、身振り手振りによって、その人の細かな動きと感情が伝えられる。3Dスタジオほど高精度ではないが、「バーチャル空間で推しが動いて喋っている」という実在感は、画面越しでも感じやすい。手持ちカメラを操作する際に生まれる独特の「覗き込んでいる」ような感覚はVRならではだし、それこそぽこピーランドでのみこさんのリアクションや、「イーサンガード」のくだりは秀逸だった。

【VRChat】VRChatワールド「Tokyo Mood by BEAMS」Horror Versionへ挑む!!!!【#フブみこめっとさん】 – YouTube

また、ある種の「余白」の大きさもVRChatの魅力だ。

クリエイターによって作られた千差万別のワールド群がすでに存在しており、それぞれに特色はあれど、そこでどのように過ごすか、何をして遊ぶかは、一人ひとりのユーザーに委ねられている。究極的には「なければ自分で作る」こともでき、クリエイター同士のコラボレーションも生まれやすい。実際、記事中で取り上げたホロメンたちの企画にも、大勢のクリエイターが携わっている。

青さんが配信やインタビューで「遊園地みたいなワールドを作るのが1つの目標」と話していたり、ぽこピーランドを訪れたフブみこめっとさんが「ホロライブランドをお願いします!」と冗談交じりに話していたりと、JPのメンバーもこのあたりは意欲的に見える。個人的には、VRChatでフブキングダムを訪れることのできる日が来るのではないかと思えて、期待せずにはいられない。

「ホロライブとVRChat」と聞いて、自分が今、真っ先に思い浮かべるのは、Smolverseの講堂だ。

やむを得ない事情によって3Dお披露目配信が叶わず、いろいろと考えることや思い悩むこともあっただろう時期に、クリエイターの力を借りながら、自分たちの力で実現した、「3Dライブ」の晴れ舞台。そのステージで神話組が歌ったのは、ホロライブを象徴する1曲「Shiny Smily Story」だった。

【1 YEAR ANNIVERSARY】A Whole Year of…!?!? #Mythiversary – YouTube

学園祭の演劇のような舞台で、2等身の短い手足を動かし、サイリウムを振りながら歌う5人。オンライン環境ゆえのタイムラグもあり、どうしても歌声がバラバラになってしまうため、お世辞にも「完成されたステージ」とは言い難い。けれど、その背景にあった無念や悔しさを考えると、そんな理不尽をもぶっ飛ばして実現した、これ以上ない最高のステージだったと断言できる。間違いなくホロライブ史に残る「SSS」の1つだ。


最後に、筆者の個人的な感想をさらっと書いて、本記事の締めとしたい。

けいろー

青くんきっかけでVRChatに注目が集まっている今、改めてホロライブとVRChatの関係性について振り返ってみてもいいのでは?

そんな思いつきで書き始めた文章でしたが、これほどのボリュームになるとは正直思いませんでした。本当に。

もちろん、hololiveENのメンバーのVRChat配信も見たことはあったし、実際にSmolverseのワールドに遊びに行ったこともある。でもまさか、こんなにも多くの場面でVRChatが使われていて、こんなにも熱意とクリエイティブに満ちた物語があったとは……! 後追いではありますが、それを知れただけでも、思いつきでこの記事を書き始めて本当によかったと思います。

そのうえで思うのは、きっかけになった、青くんの存在です。

そもそも2024年はVRChat自体が話題になりユーザー数が急増した時期でもあったため、いずれはJPのホロメンが自ずと参入していた可能性もゼロではありません。ですが、VRChatのヘビーユーザーであり、根っからのオタク気質を持ったVTuberであり、クリエイターとしてのマインドをも持ち合わせる「青くん」が真っ先に飛び込んだからこそ、他のホロメンも遠慮なく後に続くことができたし、飛び込みやすかったんじゃないか。そうも思うんですよね。

アメリアさんとはまた違った形で周囲を巻き込み、JPのホロメンの道案内を買って出てくれた、愛すべきイケメン女子。2025年6月現在はお休み中ですが、どうか心身ともに健やかになるまでゆっくり休んでほしい。VRChat配信でもそれ以外でも、また元気な声を聞ける日を楽しみにしています。

あと、カバーさん的にはホロアースを盛り上げていきたい時期かと存じますが……いつか……あの……機会があったら……VRCホロライブランドもご検討いただけると嬉しいです……(小声)。あっ、もちろんフブキングダムも待ってます!!

というわけで、いったいここまで何文字になっているのか調べるのを躊躇してしまうくらいに長々と書いてきましたが(45,000字超えてました……、はたして、ここまで読んでくださっている方はいるのか……! もし読んでくださっている方がいらっしゃるなら、心からの感謝を。本当にありがとうございます。

未チェックだった配信も含めて、なるべく過去のアーカイブも見ながらまとめたつもりではありますが、もしかしたら、言葉足らずな部分や解釈が間違っている箇所があるかもしれません。特にENとIDの配信についてはYouTubeの翻訳頼りな部分もあるため、もし間違っていたら、お手数ですがSNSなどでご指摘ください。よろしくお願いいたします。

参考サイト
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ホロライブ×VRChatまとめ記事

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