自分の「好き」や「おすすめ」を持ち寄って、自由に話す交流会。
好きなアニメや、最近ハマっている漫画。
思い出の音楽や、お気に入りの食べ物。
配信で話題にしたり、Twitterで呟いたりすることはあっても、がっつり話す機会は意外と少ない、「好きなもの」についての話。そんな「好き」を持ち寄って、たっぷり時間をかけてお互いに紹介する交流会です。
バーチャルYouTuberとしてデビューするきっかけになった曲
「ポエムコア」というジャンルを切り開いた、ミソシタさん(@misositaworks)という方がいらっしゃるんですけど。
地下二階のビデオボックスから情報発信してるバーチャルYouTuberで、下ネタばっかり言うおっさんだけど女体化している、謎の人物なんですよね。
あっ! あの方ね!
この方、実は僕がすごく感銘を受けた人物の1人で、ミソシタさんの曲を聞いて「バーチャルYouTuberとしてデビューしよう」と決意した、というエピソードがありまして。
そんな経緯が!
この「ポエムコア」っていう音楽が、だいぶ尖ってるんですよ。ラップに近い、メッセージ性の強い曲が多いんです。リリックを聴いてると心を揺さぶられる歌詞がところどころにあって……昂ってくるんですよね、気持ちが。
『革命前夜』っていう曲を聴いたんですよ。ミソシタさんが座っている周囲に椅子がいっぱいあって、ひたすらお経みたいな感じでポエムコアを語りまくる――っていうMVなんですけど。
まあ「詩」ですよね。ポエムをラップ調に語りまくって、自分の思いを伝える。そんな曲調なんですけど、最後のシーンで空いているひとつの席をクローズアップして、「次はお前の番だ」って言って終わるんですよね。
その曲を聴いた瞬間に、「あ、VTuberになろう」って思いました。
あ、でしたらせっかくなので、ちょっと流してみましょうか。
想像以上にEDMっぽくて、めちゃくちゃカッコいいですね……!
かっけえ! フロウめっちゃいい。
たしかに女体ではあるな。
2018年4月の投稿だったんだ。
声、いいですね!
「闇」とか、自分のネガティブな気持ちをすごく前向きに語っているんですよね。
「リアルじゃないが、フェイクでもない」。2018年の時点で、バーチャルYouTuberがもうこんな曲を歌っている、っていう。
たしかに今っぽい! 4年前ってことですもんね? 4年前にこれを歌ってるんだ……!
ここ2、3年でだんだんラップの需要が高まってきていて、こういう感じのラップも結構出てきているけど……4年前、すごいですね……!
ダウナーな感じもありながら、パワーのあるリリックで、すごくいいなーって。
バーチャルYouTuberの在り方をめちゃくちゃ語ってくれてるんよな。「もっと美しい闇だ」「革命前夜」「あとはお前の到着を待つ」って言われたら、「じゃあ行くしかねえな!」と思って。
なるほどかっけー! それで来ちゃったわけですね!
(VTuberに)なる決意をしたと。
※同じくミソシタさんの楽曲『ヘンリー・ダーガー』もVTuberデビューのトリガーとなったそうです。
自身のターニングポイントであり、VTuber活動の初期衝動
『革命前夜』が公開されたのが2018年の4月なのですが、たしかその翌月、自分が参加した即売会の打ち上げで、みんなで見た記憶があります。その場では「なんやこれw」みたいな感じで笑ってたんですが、帰ってから改めて聞いてたら……感銘を受けてしまって。
ちょうどその時、同人活動をやめようかなと思っていたんです。創作活動が手につかなくなってきて、熱意がだいぶ冷めていたタイミングだったんですよね。
でも、これを見たことで「バーチャルYouTuber、なってみようかな」と思って、それで活動を始めたんですよ。だから僕にとっては、ミソシタさんがターニングポイントでした。
さっきのMV、聴き入っちゃったけど、これを見てそう感じ取れた、まきさんもすばらしいなと私は思っちゃったわ。
すばらしい感受性……!
ほかの曲からも実はいろいろ影響を受けていて。たとえば『地下二階のレジスタンス』はバラード調のポエムコアですが、これもめちゃくちゃかっこいい。
ミソシタさんの曲の何がすごいかって、その時々のバーチャルYouTuber界隈の風潮をめちゃくちゃ歌っているんです。
「周りの人はどんどん人気になっていくけれど、俺はこの地下二階から歌い続けるぜ」みたいなスタンスで、結婚して子供が生まれたとしても、大金が手に入ったとしても、この住んでいる地下二階のアンダーグラウンドを忘れずに歌い続ける。「闇の中から光を届ける」――みたいな言い方をしていて、かっこいいなあと。
ただね、言っていることは下ネタも結構多くて、歌詞を見たら、なんかこう……なんかなーって感じ(笑)。
あるあるだw
なんて言うんだろう、「シモの力強さ」を夢や希望に喩えて語ったりしていて、「ミソシタワールド、すごく熱いな」と思っているんですよ。なので、今もたまに聴いています。
どんどん時代は移り変わっていくけれど、「自分の初期衝動ってここだったよな」と見返すための1つのマインドセットとして、ミソシタさんをたまに聞いている……っていう感じです。
“原点”じゃないですか……!
そう、もう原点であり頂点、みたいな。この、ミソシタさんの頭みたいに(笑)。
ふっはははははw
この頭、一応“イチモツ”らしい。ミソシタさんが言うには。
マジ!?
そうなんだw
そう。「醜態を晒してでも自分のやりたいことをしろ」みたいな、そんな感じの見せしめでもあるんかなって。
「オレをさらけ出せ」ってことですね。
「周囲に流されずに、自分の考えるクリエイティブなことしよう」
ミソシタさんと言えば、その時々で常に新しいことに取り組んでいらっしゃるイメージがありました。
そう、最近はNFT方面で活動されていて、ミソシタさんのNFTは割と「正当派」みたいな感じで評価されているらしいです。
NFTに対する考え方もですが、その時々で自分のフィールドをちゃんと確立してから活動しているので、マジで地がしっかりしてるんだなと。かっこいい。
いやぁ……いい話……聞いたなぁ……(しみじみ)。
まきさんのルーツが聞けたの、なんかおもしろかった。
まさか料理系VTuberになるとは思ってなかった! 「これを聞いて料理系VTuberになるって、なんやねん!?」って(笑)。
何より、「当時、創作活動をやめようと思っていた」ってことは、もしもミソシタさんと出会ってなかったら、我々とも出会っていなかった……ってことですよね。
そういうことになるね。
すげぇわぁ……人生って。
だって、あの時はマジで「消費するだけのオタクになろう」と思ってたから。創ることはせず、もう見ることを楽しもうと思ってたんですよね。
そんななか、バーチャルYouTuberの存在を知って――2017年くらいから認知はしていたのですが――にじさんじさんたちが出てきたりして。
「今はこういう界隈がこういう移り変わりをしてるんだ」「この中でおもしろそうな人って誰なんだろうな」と思って見ていたら、「なんやこれ!?」って目にとまったのがミソシタさんだった、という。
バーチャルYouTuberって、もともと創作界隈の活動の場所だと思い込んでいて。それこそ、同人界隈の活動の形態が、そのまま「バーチャル」に移り変わってくるのかなと思っていました。
当時はクリエイターを中心に「自分でモデルを作ってデビューしてみよう」という流れがあったんですけど、僕がデビューした夏頃――2018年の7月ぐらい――がちょうど企業さんがたくさん参入してきたタイミングで。それを見て、「あ、埋もれたわ」って思っちゃったんですよ。
でも、アイドル性の高い人たちが大勢デビューする中でも、僕は「元クリエイター」というか、創作界隈の人間だから。「周囲に流されずに、自分の考えるクリエイティブなことしよう」という気持ちがあります。
で、「その気持ちを忘れそうになったら、ミソシタさんの曲を聴く」みたいな感じで活動していました。YouTubeのサジェストに出ているミソシタさんの曲、全部が神曲なので、よかったら聴いてみてください。
いや、もう俄然聴きたいから、この後すぐに聴きます。ありがとうございます。多分、この話を聴かなかったら知らなかったし。
私も多分知らなかったなー、知らないまま行ってたなー。
昔は結構、ミソシタさんもほかのVTuberさんとコラボしていたんですよね。あの月ノ美兎委員長もネタにしていたし。
以前は界隈を揺さぶるくらいの知名度はあったけど、アイドルやタレント系の文化が強くなっちゃったから、ミソシタさんも離れちゃったんかなと。個人的な印象ですが。だから「意志を継ぐ」じゃないけれど、そういう思いは必要だなとも思っています。
まきさんの中には、ミソシタさんの魂が宿っているわけですね。
もうちょっとふざけて紹介する予定だったけど、結構アツく語っちゃった。
いいじゃないっすかー!
まさにこういう話を聞きたい場だから!
聞きたかった! 聞けてよかった!
まあ「歴史を振り返る」みたいな感じで聴いてみてください。