猫妖精VTuber。
Apexをはじめとするゲームを得意とし、YouTubeチャンネルではほかにVALORANTなどもプレイ。
ロゴや配信画面などの制作も手掛けるクリエイター肌で、大勢のVTuberのロゴデザインを担当している。
今回は、ゲストである冬鈴ベルさんにテーマを用意していただいております。本日は何についてお話いただけますでしょうか?
本日はですね、あまり日の目を見ることがないんですけども、「プログレッシブ・ロック」について、初心者の方にも触れやすいようにお話ししていきたいなと思っております。
「プログレッシヴ・ロック」って、どんな音楽?
――あの、自分は音楽全般について詳しくないこともありまして、「プログレ」という単語と「なんとなくこういう曲かな?」というイメージしかないので、まずはジャンルの定義みたいなところからお聞きできると助かります……!
冬鈴ベル:
Wikipediaで調べると、10年くらいしか出てきている時期はないんですけれど。革新的なロック……っていうか、「他のジャンルを取り込んで新しくなろう」みたいな動きのあるロックのことを総称して、「プログレッシブ・ロック」って言います。
だいたい1960年代後半に出てきて、70年代半ばから後半ぐらいにかけて減っていってしまった。でもそのあいだにたくさんのバンドと楽曲が出て、それがいまだに愛され続けている――そんなジャンルですね。他のジャンルとロックを組み合わせたりしていることもあり、どちらかと言えばアート的な音楽なので、キャッチーなメロディーが繰り返される今どきの曲を聴き慣れている方だと、ちょっと難解に感じるかもしれないです。
――プログレといえば「長い曲」というイメージが個人的にはあったのですが、ある種の型破り的な楽曲……というか、お約束があまり通じない、みたいな?
冬鈴ベル:
お約束の「お」の字もないです(笑)。1個のアルバムを1つの作品っていうふうに捉えるバンドが多かったので、1曲20分とか、すごく長い曲が多いですね。長いものだと、レコードの片面がまるまる1曲みたいなのもあります。
――すると、その長い中で曲展開もあちらこちらにいったりするような?
冬鈴ベル:
そうですね。ストーリー仕立ての楽曲も多いので、1曲の中でも曲調がぜんぜん違ったり、部分部分で使われる楽器がまったく別だったりします。
――広義の「ロックミュージック」ではあるものの、それ以外の要素や楽器もあれこれ取り入れた音楽……といったイメージでしょうか。
冬鈴ベル:
そうです! まさにそんな感じです。
――なるほど! お話を聞いて、ちょっとイメージしやすくなってきた気がします。ではここまでの説明を踏まえて、実際にプログレの楽曲を流しながらご紹介いただきたく思います。
冬鈴ベル:
はい。じゃあ早速1曲目、曲紹介させていただいてもよろしいでしょうか。
――はい! あ、じゃあぜひ、ラジオっぽい感じでお願いします!
じゃあそのまま説明なしで流してもらう感じで、曲名だけ……。Queenの『The Prophet’s Song』。
曲の物語に入っていきやすいのが、プログレの魅力
――はい、というわけでお聞きいただきましたのは、Queenの『The Prophet’s Song』でした。Queenといえば音楽に明るくない人でもきっとご存知であろう世界的ロックバンドですが、驚いたのが、8分17秒という長さ。Wikipedia先生によると、「『Bohemian Rhapsody』を2分22秒上回る、Queen最長の曲」という説明があったのですが……これはいったい、どういった楽曲なのでしょうか?
冬鈴ベル:
かなり長い曲になっていますね(笑)。まず「Queenっていうバンドは聞いたことがあるけれど、プログレは知らないよ」っていう人からすると、「Queenってプログレッシブ・ロックなの?」って疑問に思うかもしれないんですけど。
――まさに思いました(笑)。
冬鈴ベル:
そもそもQueen自体がプログレッシブ・ロックのバンドの曲に影響されているので、いわゆる「プログレっぽい曲」が多いんですよね。たとえば、有名な『Bohemian Rhapsody』はロックなんだけど、ちょっとオペラっぽい部分があったりとか。ああいうのが、「プログレ色が強い曲」っていうふうに言ったりするんですけども。
この『The Prophet’s Song』もまさにそんな感じで、オペラのような……ロックというには、ちょっとムーディーな雰囲気がある曲です。琴の音とかも入っているちょっと変わった曲になっているんですけど、Queenの中でも特に「プログレ色が強い」と言われています。
――なるほど! 「琴の音」というのは、ラストのあたりで聞こえていたのがそれかな……?
冬鈴ベル:
そうですね。最初と最後の部分に、風の音や琴の音が入っています。ちょっと物語チックな曲になっている、という感じもありますね。
――琴の音も印象的だったのですが、あとはあの……中盤あたりでしょうか。完全に楽器の音が消えて、左右から歌声だけが響き合っているところ。あそこで「うわっ! すげー!」ってなって、ちょっとゾクっとしました。
冬鈴ベル:
そうなんですよね。あの美声が輪唱している部分にどっぷり浸かると、ゆらゆら揺さぶられている感じがして、ベルは結構好きです(笑)。そういう「のめり込みやすさ」というか、曲の物語に入っていきやすいのが、プログレの魅力かなと思っております。
――たしかに、あの部分は本当に「歌声」だけに集中させてくれるというか、聞いていてすごく染みわたるような感触がありました。それでいて曲展開もどんどん移り変わっていくから、楽しい……というか、その展開に揺さぶられるような感じもありましたね。しかも初めて聞いたにもかかわらず、古さみたいなのもぜんぜん感じられないという。
冬鈴ベル:
ちょっと激しいパートとかもあって、そういうのもいいですよね(笑)。プログレって、「新しくあろう」とか「新しいことをしよう」という流れを指す音楽でもあったので、今になっても色褪せないメロディがあったりとか、そういうのも魅力のひとつですね。
――ちなみに、Queenの楽曲では他にプログレ色の強い曲はあるんですか?
冬鈴ベル:
そうですね……他にも何曲かあるんですけど、やっぱり一番は『Bohemian Rhapsody』ですかね。Queenの中でもトップレベルに人気の曲ですし、映画になったこともあって……ちとあれは、プログレ界でも「やったね!」みたいな感じだったかなと思いますね(笑)。
――「『Bohemian Rhapsody』もプログレ」と言われると、急にプログレが身近になった感じがありますね。
冬鈴ベル:
そうなんですよね。あの映画が流行る前、友達とカラオケに行って『Bohemian Rhapsody』を歌ったことがあるんですけど、「なんじゃこの曲……?」みたいな顔をされて(笑)。でも映画が流行ってからは、「良い曲じゃん!」みたいに言ってくれる友達も多くなって。みんながちょっとはプログレにハマってくれたように思えて嬉しかったですね。
――僕自身、こうして紹介していただいた1曲目から、早くも「なるほど、これがプログレか!」とピンとくる部分が結構あったように思います。同時に、それが自分ですら知っているバンドの曲であったことの驚きや、何十年も前の音楽でありながら新鮮に感じられた部分もあり、ベルさんのお話と合わせて興味深く聴くことができました。
冬鈴ベル:
そうですね。「何かとロックを融合している」という意味では、この『The Prophet’s Song』はわかりやすい曲だと思うので。導入としては良いかなと思って、こちらを1曲目に紹介させていただきました。
――ありがとうございます! Queenという有名なバンドを選んで紹介いただいたことで、初心者目線でもわかりやすく、また「プログレ」というジャンルについてもイメージしやすくなった部分があるんじゃないかと思います。次の2曲目も、人によっては「あっ! これかぁ!」となる曲だと思うのですが……では、タイトルコールをお願いしてもよろしいでしょうか。
はい、わかりました。
2曲目は、Yesの『Roundabout』。
「プログレは、20回聞いたあたりからが本番」
――はい、というわけで、聞いていただきましたのは『Roundabout』。こちらは、イギリスのプログレッシブ・ロック・バンド「Yes」が1971年にリリースした、4作目のアルバムの収録曲である――というふうに、Wikipedia先生が言っていました。……で! 加えてこれは、アレですよね!?
冬鈴ベル:
はい(笑)。
――2012年10月から2013年3月にかけて放送された、テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』1st Seasonのエンディングテーマにも採用された楽曲! 毎回のエンディングへの入り方があまりにもカッコよくて話題になりましたよね! 現在はある種のネットミームとしても広まっており、「To be continued…」の文字と合わせて、TwitterやTikTokでも若者によく知られている楽曲かなーと思うんですけれども! ……ってな感じで、はい。すみません。オタク特有の早口で失礼いたしました。
冬鈴ベル:
あっ……ジョジョ……ファンで、いらっしゃいますか?(笑)
――アニメで聞き覚えがあったので、「あっ! これかぁ!」ってなりました(笑)。
冬鈴ベル:
そうですよね。やっぱりあの、『Bohemian Rhapsody』はこう……正当な方法で有名になったというか、最近は有名になったと思うんですけど。この『Roundabout』は、Twitter上で動画ミーム的な感じでかなり広まっています。ほとんどの人は、そもそもこれがプログレッシブ・ロックだということに気づいていないと思うんですけども(笑)。
――そうなんですよ! ぜんぜん知らなかったですほんと!
冬鈴ベル:
曲の入りがカッコよすぎて、プログレッシブ・ロックに詳しくなくても魅力的に感じるだろう入りですし、これはみんな聞き覚えがあるかなと思って、2曲目にチョイスさせていただきました。
――事前にベルさんからご紹介いただく曲のリストをもらっていたのですが、先ほどのQueenを聞いたあとに、この『Roundabout』の、あの……ポロロン♪ のイントロが聞こえてきたので、興奮気味に「あっ! これかぁ!」ってなりました(笑)。
冬鈴ベル:
いやぁ、これはみんな「うわっ! これかぁ!」になるなと思って(笑)。
――いやー、まんまとやられましたね(笑)。僕なんかは『ジョジョ』きっかけで知ったみたいなところがあるので、あのエンディングのイメージが強いのですが、またフルで聞くと印象が変わるというか。見てみたら……8分30秒ほどの楽曲ということで、さっきよりも長いですよね。
冬鈴ベル:
そうなんです! 『Roundabout』も相当長いんですけど、Yesの楽曲は大概長いですね(笑)。プログレの楽曲は8分台のものが多いかなと思うんですけど……ギリギリ聞きやすくて、ラジオとかでもワンチャン流せるかな、みたいなところですね。20分とかになるともう疲れちゃうと思うんですけど(笑)。
――それだけ長いと、1曲の中でいろいろな展開があるものも多いんじゃないかと思います。それこそ『Roundabout』も、フルで聴くとまた違った楽しみ方ができたのでよかったです。
冬鈴ベル:
1曲の中でいろいろな展開が繰り返されていくのも、プログレの魅力のひとつだと思ってて。ぜんぜん飽きないですよね。この曲は最近また流行ったというのもありますし、プログレの中ではカッコいい系……というか、ある意味ではキャッチーな印象もあって、紹介させていただきました。
あと、プログレ・ロックって結構変な楽器とかも入れてくることがあるんですよ。そもそも楽器じゃなかったりすることもあるんですけど(笑)。さっきの『The Prophet’s Song』だと、エアコンの音で風の音を出していたらしいので。
――え!? エアコンの音!?
冬鈴ベル:
はい(笑)。いろんな楽器や音を入れて、意外性を出しているのかなと。なので、「あ、ここでこういう楽器の入れ方をしてるんだ!」みたいな発見もあると思います。
――なるほど……。これだけ長いと聴きごたえもあるし、何回でも楽しめていいですね。「味わえる音楽」というか。
冬鈴ベル:
そうですね。プログレは「20回聞いたあたりからが本番」みたいな気持ちでいつも聞いてるんですけど(笑)。スルメみたいな、「噛めば噛むほどおいしい」みたいな楽曲が多いですね。ただ、無理はしないように! 聞きすぎると嫌いになっちゃうと思うので(笑)。
――でも『Roundabout』に関しては、個人的には割とその「スルメ感」が強いかもしれないです。イントロで聞こえてくるギターの音色とかがそうですけど、楽曲の中で何度か繰り返されるフレーズがあるじゃないですか。だけどぜんぜんしつこくないし、むしろ「もっと繰り返してくれーッ!」みたいな感覚になってるので……。
冬鈴ベル:
ハマってますねそれは(笑)。
――歌ももちろんカッコいいんですけど、いろんな楽器が入り乱れて聞こえてくるところとかもすごく好きです。
冬鈴ベル:
あぁ……プログレリスナー向きかもしれないです(笑)。プログレって1つのアルバムを作品として捉えているので、中にはイントロだけの、声が入ってない曲とかも多いんですよ。そもそも声が一切ないアルバムとかもあったりするので。そういう「音楽として楽しむ」ことに向いてる人には、かなり向いているかなと思います。
――あれですかね。サウンドトラックとかを普段から聞いている人とか。
冬鈴ベル:
あ、そうですね! 「曲に歌がついてないと……」みたいな人だと、ちょっと抵抗があるかもしれませんが、ゲームのBGMとか、クラシックとか、そういう歌が入っていない音楽を聞き慣れてる方だと、すごい聞きやすいかもしれないです。
――なんだか、ワンチャン素養があるような気がしてきました(笑)。あとで自分でもちょっとプログレ曲を掘ってみようかと思います。ではそんな感じで、ラスト3曲目……いっちゃいましょうか?
はい、いっちゃいましょう! 3曲目は、Emerson, Lake & Palmerで『Karn Evil 9 1st Impression, Pt. 2』です!
続きはPodcast本編で!
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