【先輩VTuberに聞いてみた】やりたいことをやるのが一番!こぐまろが見つけた自分の強みと、長く楽しくVTuberであるための心構え

【先輩V】こぐまろ
「先輩VTuberに聞いてみた」とは

普段は聞けないメタな話題も含めて、VTuberの「先輩」にあれこれ聞いてみるインタビュー企画。

「活動を始めたきっかけは?」
「どうやって“受肉”したの?」
「いわゆる“設定”はどう決めた?」
「VTuberとしての心構えを教えて!」

VTuber活動に興味がある人や、今まさにデビューのために準備中の人が読めば、何か得られるものがあるかも……?

今回お話をうかがったのは、2019年6月にデビューした こぐまろ@kogumarororoさん。

カスタムキャストで作った3Dモデルでデビューし、その後も知識ゼロの状態からVRoidを使って自らの姿を作成。何から何まで自分1人でこなしつつ、3年以上にわたって活動されている完全個人勢VTuberです。

YouTubeではライブ配信を中心に活動しており、歌ってみた動画もたびたび投稿。2021年7月以降は「性癖茶会」と題したテーマ雑談がメインコンテンツのひとつとなっていて、最近は女性用風俗の体験談を継続して発信中。年末には、VTuberとしての活動収支を公開する配信なども行われています。

見方によっては“攻めた”活動をしているようにも映るこぐまろさんですが、いったいどのようなスタンスでVTuberを続けてきたのでしょうか。お話を聴いて見えてきたのは、VTuberとして活動を長く楽しく続けるために大切な、一本筋の通った信念でした。

インタビュー・執筆 / けいろー(@K16writer

目次

山奥のラーメン屋のように、好きなことをやる

――まずは自己紹介からお願いします。

こぐまろ

性癖探求VTuberのこぐまろと申します。パパさんとかママさんとか企業さんとかは一切なく、個人で完全に活動しています。

こぐまろ
もともとは「性癖探求VTuber」を名乗っていなかったのですが、みんな「○○VTuber」って付けてるじゃないですか。私、2019年デビューで今年が4年目になるんですけど、最初の頃は「○○系VTuber」って名乗っている人はまだ少なかったと思うんですよ。でも今はもう8割9割の方が「○○系VTuber」を名乗っているので、私もこう名乗ることにしました。

ただ、もともと私は特徴らしい特徴もなくて、単に好きなことをやるだけのVTuberだったんですよね。YouTubeチャンネルも「好きなものを集める宝箱」みたいな感じで、自由気ままに動画を投稿していただけでした。ところがある時、おもらし配信がバズって――これも好きだったからやったのですが――そこで「もういいじゃん」と思って。「えっちな自分をさらけ出しちゃっていいじゃん」と。そこからはまあ、いろいろやるようになりました。

今は主に女性用風俗にハマっておりまして、お兄さんたちとめちゃめちゃ戯れていますね。もちろん、M男くんを調教するなどの初心も忘れずがんばっていきたいなと思っております。

――早速、パワフルな単語がいろいろ飛び出していて気になるのですが(笑)。VTuberとしていろいろな活動に取り組んでいくなか、特に好きでやってみたことがバズったことで、そちらの方向性で活動をさらに広げていくようになった――そんなイメージでしょうか。

こぐまろ
メインコンテンツがね、欲しかったんですよ。ゲームを一生懸命やるようなタイプでもないので、当初は雑談メインでやってたんですけど……でも雑談は雑談じゃないですか。

そこで考えたのが、「性癖茶会」ですね。マシュマロを募集して、「今日は排泄について語りましょう」とか「今日は露出について語りましょう」みたいなのを、去年のオ○ニーの日から突然始めて(笑)。

それが軌道に乗って人気になったことで、その番外編……というか「実践編」ということで、調教したりおっ○いパブに行ったりと自分の体験を話すようになって。今はもう……アレですね。ガチ恋勢が見たら気絶してしまうようなコンテンツにまで手が伸びていると(笑)。

https://www.youtube.com/watch?v=cK341lPypEE

こぐまろ
でもね、決して自分はえっち系のVTuberというわけではないんですよ。「たまたまVTuberがえっちだった」だけで。そこはね、信念としてやってます。なので、Skebを使えば音声の依頼をすることもできますが、そういうのは一切やっていません。そうしてしまうと、こぐまろのえっちなASMRなどをお金で買えてしまうからです。それは違う、と。

自分がやりたいときにえっちなことはするし、えっちなものはインフラだから――ガス・水道・電気・エ口がインフラだと私は考えているので――できるだけ無料で公開しています。でもだからと言って、エ口を誰かがお金で独占してはならない。そういう信念を持ってやっております。

――その切り分けってすごく大切だと思います。「自身をそのコンテンツとして提供している」のと「自分がそのコンテンツを好きで話題にしている」のとでは、まったく性質が異なりますものね。

こぐまろ
「山奥でやってるラーメン屋」みたいなものなんですよ。店主が「俺が店を開きたいときにしか店はやらねえよ」っていう。だけどなぜか経営は続けられている。「俺がエ口やりてえときにしかエ口はやんねぇんだ。けぇんな!」って感じですね。

だからえっちな音声も基本は出していませんし、通話する権利などもありません。お金を出すタイプのコンテンツとしてFANBOXとYouTubeメンバーシップはやっていて、(いくつかのコースがあって)金額は変わりますが、どれも内容は同じ。「『月に1回何かを絶対にやります』みたいな保証もしません」と言っております。

「お互い無理しないでやろうねー」っていうのが一番なので。それを理解していただいたうえで、エンジェル投資家のみなさんがサポートしてくださっている、という感じです。ありがたいことです、本当に。

――「ファン向けのコンテンツをどうするか」もいろいろですが、こぐまろさんはその点、リスナーさんとちょうど良い距離感で応援する/される関係を築けているわけですね。

こぐまろ
そうですね。変にリスナーさんの力が強くもなってないし、私の独裁政権みたいな感じでもないし。だからね、荒れてないんですよ。炎上したりとか、コメント欄がぐっちゃぐちゃになったりとか、ガチ恋勢が……みたいなことはなくて。過激なコンテンツを扱っている割には、ありがたい環境でやらせていただいています。アイドル売りをしているか、普段は男性と絡まないタイプのVTuberさんだったら、もう絶対に大荒れでしょう。

ちなみに、「VTuber 女性用風俗」とか「女風レポ VTuber」で検索すると、配信だと私が最初です。それ以外に1件、ほかのVTuberさんが出している15分の動画がありますが……なんか悔しいから見ていません。でもね、先駆者と名乗ってもいいのではないでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=EzD4Yuf4ZA0

――新しい分野を切り開いていっているわけですね。改めてこぐまろさんのチャンネルの動画一覧を拝見しているのですが、「性癖茶会」以降は目に見えてサムネイルのカラーが変わっていますよね。「自分の道を見つけた」ような感じがあってすごくいいなと。

こぐまろ
ありがとうございます(笑)。なんか「これだな!」っていうのがバチっとハマった感じがしますね。自分でもそうだし、人からも言われます。VTuber仲間からも「メインコンテンツとして良いの見つけたね」ってめちゃめちゃ褒められます。

――じゃあもう、あとはこの道を突っ走るのみ、という。

こぐまろ
だと思いますねー。お歌は好きなのであいだあいだに入れますし、年収公開とかも毎年やりますけど。良くも悪くも個人なので、本当に好きなことをやれるし、好きなことしかやらんから……もう流行り廃りとかもね、興味なくて(笑)。ゲームもあんまりやらないし、やるとしてもソシャゲばっかり。ソシャゲで女の子にばっかり夢中になってます。「配信でやれよ!」って話なんですけど……まあ配信ではやりませんね。

――配信でやるのとは別に、普通にゲームを楽しみたい、という感じですか?

こぐまろ
うん、配信でやるよりも、素早くクリアしてストーリーが読みたいんです。遊んでいるのも『プリコネ』なんでね。みんなで遊べる『プロセカ』みたいなやつだったらいいんですけど、『プリコネ』はひたすら1人で黙々とやる男のゲームなんで。

「うちの子なりきり」から始まった活動と、後輩VTuberのお手伝い

――性癖茶会を経て「道」を見つけたこぐまろさんですが、VTuberとして活動を始めたそもそもの経緯はどのようなものだったのでしょうか?

こぐまろ
もともとねー、私は「VTuber好きのVTuber」じゃないんですよ。「VTuberを見ていて、VTuberになりたくて、なりました」って人も結構多いと思うんですけど、ぜんっぜん知らんところから来ました(笑)。

一番最初のきっかけは、iPhoneを買い替えたことですね。iPhoneを新しくしたことで、以前からずっと気になっていたアプリ「カスタムキャスト」を使えるようになったんです。カスタムキャストを使ったできたのが、第1号のこぐまろちゃんです。

要するに、「うちの子なりきり」をしていたんですよね。その頃はVTuberのことも何も知らなかったのですが、お友達から「今はカスタムキャストを使ってるけど、VTuberになりたいんだ」「ニコニコ動画でなら、カスタムキャストのモデルで配信できるよ」といったお話を聞きまして。

そっち側の世界に興味がある子がいたので、「VTuberってなんじゃい」と調べてみたことで、輝夜月ちゃんとかの存在を知りました。そこで、「あ、なるほどこういう人たちがいるのか」「自分もやってみたいな」「どうやればできるんだろう」って思って、動画の作り方なども調べるようになった感じですね。

何も知らない状態からAviUtlをパソコンに入れて、調べていくうちに今度はVRoidの存在を知りました。「これでモデルを作れるんだ!」「ちょっとやってみっか」くらいのノリで手を動かして、VRoid版のまろができて、「せっかくだからデビューすっか」とYouTubeチャンネルを作り……っていう流れですね。

だからね、本当になりゆきというか……その、嬉しかったんです、自分でできるのが。「AviUtlが動いた!」とか「今日は髪の毛が作れた!」とか、そういうのが嬉しくて。「自分、ものづくりが好きなんだな」「VTuberになったら、もっと楽しいことができるかな」と思って活動をはじめました。

https://www.youtube.com/watch?v=VfTvHDV7Y_Q

――最初のきっかけはカスタムキャストという「ツール」の存在だったわけですね。それを実際にさわってみて、調べるなかでVTuberやカスタム性の高いVRoidを知り、「せっかくなら」ということで活動も始めることにした――という流れでしょうか。

こぐまろ
そうですね。あと同じくらいの時期に、友達に誘われてツイキャスとかも少しだけやってたんですよ。なので、「3Dのかわいい女の子を自分で作れるカスタムキャスト」と、「自分の言いたいことを自由に発信できるツイキャス」が合併して、良い感じに「VTuber」になった感じです。……なかなかこういう出自の人はおらんのではないかな?(笑)

――ツイキャスやニコ生出身の配信者がVTuberに、という流れは一定数あるかもしれませんが、「たまたま興味を持って使っていた2つのツールが合わさって」というのはたしかに珍しいかもしれませんね。ちなみに、カスタムキャストを知ったきっかけは?

こぐまろ
それも友達経由ですね。創作関係の友達から「自分のオリキャラを作れるよー」みたいな話を聞いて、「そうなんだー、じゃあ自分も……あ、これはiPhoneの容量が足りないやつだわー」って。そもそもスマートフォンもね、大学に入るまで持ってなかったんですよ。だからインターネットやガジェットに関しては、かなり知識が疎いほうです。

――初めてスマートフォンを手にして、「かわいい女の子の3Dモデルを作れるアプリがあるよ!」なんて聞いたら、そりゃあ興味を持つし夢中になりますよね。ところで、こぐまろさんの3Dモデルは今が3代目とのことですが、全体のビジュアルは初代から一貫しているようにも見えます。何かモチーフやこだわりなどはありますか?

こぐまろ
モチーフ……こだわり……「もともとクマちゃんが好きだった」のはまずありますね。私が入っていた文化系の部活には「部活ネーム」みたいなのがあったのですが、それが今のお名前とすごく近くて。

あと、ロリータも好きなのでよく着てました。今のまろちゃんみたいな服を本当に。だから今の3Dモデルは、「リアルの自分の要素を取り入れつつ作った、なりたい自分の姿」とも言えるかもしれません。茶髪やお団子ヘアは別ですけど。「翼を生やそう」とか「天使や悪魔にしよう」みたいなのはなかったですね。バーチャルだけど、「自分とかけ離れすぎるのは嫌だった」っていうのはあるかも。

あ、それと麻呂眉も好きです。ちっちゃいクマちゃん+麻呂眉で「こぐまろ」ですね。「まろちゃん」って呼んでもらえたら嬉しいです。

――ひらがな4文字でかわいらしいし、呼びやすいお名前で素敵だと思います。ということは、VTuberとしてのいわゆる「設定」的なものもまったくない感じですか?

こぐまろ
うん、ありませんね。本当に趣味の延長でやってたので。だから「何文字以上じゃないとトレンドに乗らない」とか、「こうしないと検索に引っかかりづらい」とか、そういうことも考えていませんでした。「もうちょっと戦略的に生きてたほうがええんかー?」と思うようになったのは、ここ1、2年のことですね。基本はのーんびり生きてます。

――最近になってそう思うようになったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

こぐまろ
やっぱね、後輩ができると違いますね。すーごくしっかりしてるから、今の子。デビュー前からしっかり準備をしていて、絵も動きもすごいし、自分の名前のロゴまでちゃんと用意してたりとかするから。

ただそれでもね、知らないことも多いみたいなので。「DiscordのプロフィールにはYouTubeとTwitterのリンクを貼ってくれーっ!」とか(笑)。そうやって自分が気になったところを指摘すると、「なるほど! ほかにありますか?」ってさらに聞かれるんですよね。そこで「自分が一番しっかりしてなきゃいかん」と思って、今更ながらお勉強するようになりました。

――「こぐまろさん自身が数字を伸ばすために」というよりは、「新人さんから質問される機会が増えて、知っておいたほうがいいと思ったから」という感じでしょうか。言い方はちょっとアレかもですが、後輩の面倒を見るために……みたいな。

こぐまろ
あ、「面倒見が良い」とはよー言われます。「まー自己満足でおせっかいですわ」と思いながらやってますね。というのも、自分がいろいろ助けられてきたんでね、周りの人に。パソコンを新調するときも「カスタムパソコンって何?」「ゲーミングPCって?」みたいなところから始まって、もうわからんことだらけだったから。

がんばってるいい子には、手を差し伸べたいじゃないですか。死んでほしくないから。VTuberすぐ死ぬから。ほんとに。「伸びたい」っていう意思があって、企業さんのサポートとかがついてない子とかだと、余計にね。だから個人Vの友達がめちゃくちゃ多いです。

――今のお話を聞いて、こぐまろさんからすごく「頼れるお姉ちゃん」の雰囲気が伝わってきました……!

こぐまろ
気になる子がいると、自分のサーバーに引っ張り込んできてね(笑)。

――それで助かっている人もきっと多いのではないでしょうか。

こぐまろ
助かっていればいいですけどね……!

――実際にVTuber活動を始めようとしたときに、「姿を用意する」とか「名前を決める」とか「OBSはこうやって使う」とか、調べればわかる部分も多いとは思います。でも、その時点で結構やることがたくさんで、いっぱいいっぱいになっちゃうとも思うんですよね。そう考えると、身近に相談できる人がいるのはありがたいように感じます。

こぐまろ
そもそも検索するためには、「検索すること」がわかってないとダメじゃないですか。たとえば「Discordにほかの人の声を入れたい」と思って検索をしたら、「OBSにDiscordの声をのせる方法」は出てくるかもしれませんが、それが求めていた情報じゃない場合もあると思うんです。

そこで「こぐまろさん、Discordにほかの人の声を入れたいんですけど……」って聞いてもらえれば、こちらからも「コラボするの?」「立ち絵とか出すの?」と詳しく聞いて、「だったらこういうツールがあって便利だよ」ってプラスの提案をしてあげられます。そうやって力になりたいですね。いろんなことで。

――たしかに「特定の用途で使うツール」って、そもそも存在を知らなければ検索のしようがありませんものね……。

こぐまろ
そうそう。「もっと便利にできるよー」って。でもね、そこで男性VTuberと絡むから、「まーたまろちゃんは、若い男を捕まえて食ってらぁ!」って言われますけどね(笑)。

――え!? 食ってるんですか!?

こぐまろ

食ってないですけど!!(笑)

「伸びなくてもええんや」の気持ちで続けていたら、“おしがま”でバズった

――ここまでのお話を鑑みるに、いろいろなタイミングが重なってVTuberデビューされたこぐまろさんの場合、「準備期間」のようなものはなかった感じでしょうか?

こぐまろ
ないですね! ほんとに(笑)。6月10日が誕生日なんですけど、マジの誕生日なんですよ。マジの誕生日に「よし! VTuberになるかー!」と思ってVTuberになったので、それが自分のVTuberとしての誕生日でもあります。

実際にデビューしたのは6月26日なので、2週間くらいのあいだに全部やりましたね。必要なアプリやツールをインストールして、YouTubeチャンネルを作って……。だから「#VTuber準備中」のタグを使っての活動なんかも知らんかったですね。

――今になって思えば、活動開始前に「これはやっておけばよかった」と思うことってありますか?

こぐまろ
「VTuber準備中」をやっておけばよかった……。

――ああ……デビュー前の「VTuber準備中」の期間それ自体を……。

こぐまろ
そう、それ自体をやっておけばよかった……(笑)。

――でも半ば勢いで活動を始めて、もう4年目になるわけですよね。ご自身の活動を振り返ってみて、VTuberをやめずに続けられた理由って何かあると思いますか?

こぐまろ
んー……「友達がいたから」は絶対ありますね。

雪伽トウツくんっていう雪ウサギのVTuberがおるんですけど、その子がずーっと仲良しで、4年間ほぼほぼ一緒にいるんですよ。「死なない友達がいる」っていうのはデカい。規模とかやってることとかはぜんぜん違うけど、「なんか気が合って、オフで会ってもいいな」くらいの友達が1人いると、心がめちゃめちゃ楽になります。

というのも、1年目はメンタルとの勝負だと思っているので……。だって、見ている人が少ない時期って、いつやめても誰も困らない状態じゃないですか。だからね、自分のやりたいことをやるのが一番ですよ。「伸びるからApexやります」はダメです。「伸びなくてもええんや」っていう気持ちで生きていくこと、それが一番大事だと思います。

――こぐまろさんはもうずっとそのスタンスで活動を続けられてきた感じですか?

こぐまろ
うん。「ゲーム配信しないんですか?」って聞かれても「やりません!」って。……あ、そもそもやれなかったんですけどね。当時はボロッボロのパソコンで活動してたので。自分は3Dなのに、配信では立ち絵しか出せなかったんです。しかも音声もブッツブツで、今も聞き返したくないくらいの音質でお届けしてたので……。

最初からハイクオリティなことをやってたら、病んでたと思います。あの頃の自分は、「パソコンがブツブツだから」とか「個人でやってるしなー」とか、良くも悪くも言い訳ができた。「人は見てないけど配信やらなきゃ」みたいな強迫観念もなかったですしね。自分で自分の首を締めてなかったから。――あと、1年目におしっこでバズったから(笑)。

https://www.youtube.com/watch?v=AWUqqDSsSN8

――出ましたね!(笑)やっぱりバズったのは大きかったですか?

こぐまろ
バズったのはデカかったですね。びっくりしました。「わー! すごい! 300人いった! ありがとうございます!」って言ってるときにバズって、4,000とかまでいったから……「なになになになになに!?」って(笑)。

――急に人数が増えたのには何か理由があったんですか?

こぐまろ
それが、そもそも「おしっこの配信」自体は、ふと思い立ってやったものだったんですよ。「あ、今日は11月24日だから、“いい尿の日”じゃん」って思って(笑)。

で、その頃は「おしがまテトリス」が一部で流行っていたのですが――あの、大手の方のほうでね? それでシコりに行ってたんですけど……あの……シコれないんですよ!! 最後まで! やってくんないの! 漏らしてくんないんですよ! シコれなくて!!

こぐまろ

「それはいかんじゃろーーーッ!!」と思って。「本当のおしがまをやったらぁ!!」と(笑)。

こぐまろ
「限界のところからスタートして、開始15分で漏らす」という配信をやってみたところ、おもらし愛好家兼切り抜き師で有名な方の目にたまたま留まって、ニコニコ動画に切り抜きがアップされたんですよ。それがめちゃめちゃバズってて。そりゃそうですよ。だって「おしがま専門の切り抜き師が、おしがまを切り抜いてる」わけですから、見ますよ! 人が!

その結果、「こんな子がおるぞ!」と注目されて、バズりました。ほんとありがたい話です。ニコニコ動画の総合1位を取りましたからね。でも完全にそれは人のふんどしなので、自分のふんどしで取りたいなと思って、今はえっちな活動をやってるわけですよ。

――でも「私が真のおしがまを見せてやる!!」と行動しなければ、そもそも切り抜かれることもなかったわけですから……誇っていいと思います! それにしても、エピソードのひとつひとつに理由があるのが良いですよね。「7月21日だから」と性癖茶会を始めて、「11月24日だから」とおしがま配信をして……(笑)。そうやってご自身の強みを……強み? ……うん、強みを見つけてきたわけですものね。

こぐまろ
「これやりたい!」がちゃんとバズってくれるのは嬉しいですね。「自分の直感とやる気って、結構当たるな」って思ってます。

VTuber活動を長く楽しく続けるために必要な、地盤と信念

――これからVTuber活動を始めようと考えている人や、すでにデビューしている新人VTuberさんに対して、何かアドバイスはありますか?

こぐまろ
「受け身になるなよ」は絶対あります。「これ、やりたい人〜?」とか「募集してるんですけど、誰かいませんか?」とか、企画って結構ごろごろ転がってるじゃないですか。

なかには「女性限定」とか「チャンネル登録者数○人以上のみ」といったものもありますが、そうじゃない企画もあるぞと。ちゃんと見つければ――それこそ、このインタビューもそうですけど――「はい!」って手をあげれば、拾ってくれる良い人はめちゃめちゃたくさんこの世にいる。だから、「どんどん手をあげていきましょう」と言いたいです。

――大切ですね……!

こぐまろ
みんなね、チラ見してるだけなんですよ。「いやーアモアスやりたいけど……人がなー(チラッチラッ」っていう。……違うんよ! 「あと1人乗れる船を見つけて入っていくのが、お前の仕事じゃろがい!」って思うんですけど、なぜできないのか……!

――普段は絡みのない人が相手だと、躊躇しちゃう部分はあるのかも……?

こぐまろ
いや、新人だからこそですよ! 「じゃあお前、普段絡みがある人なんてどんだけいると思ってるんだ」と。……おらんやろ! 見つけようよ! 普段絡みに行く人を! 新人だから……いや、新人のうちしかできないですよ、失敗は。「新人だからしょうがないね」で済まされるうちにいろんなことをやっていきましょう――っていうのが1個ありますね。

あと気になることとしては、私は相互フォローの文化がよくわからないので、「そんなにどんどん相互フォローしちゃって、お前大丈夫か?」っていうのはありますね。あとで苦しむんじゃないかなーって。

自分も最初の頃は、リスナーさんも含めてみんな相互フォローしてたんですけど、バズったときから……なんかいろんな思想の方々が増えて。「これ、全部フォローしてたらキリがないな」って思って、いったん相互フォローをやめました。「これからはVTuberさんとそれに関わる方、あるいは自分が見たい絵師さんとかしかフォローしないようにするので」って説明をちゃんとして、フォローを外していった感じですね。

だから、最初に決めておいたほうがいいかもしれない。「己の信念をちゃんと1本、作ったほうがいいかもしれない」っていうのはあります。

――たしかに「Twitterをどのように運用するか」はあらかじめ決めておいたほうが良いかもしれませんね。

こぐまろ
それこそ「DMは企業さんだけですよー」とかね。企業に属していない個人VTuberの場合、「これはやる、これはやらない」っていうことは、全部自分で決めなきゃいけないんで。それを最初にしっかり決めておくことは大事だと思います。

あと、推しマークやファンアートタグは、被りがないかちゃんと検索してくれ。というのも以前、自分のファンアートタグを新人の子が使っているのを見かけて、先方に「あの、すみません……このタグって……」と確認しにいったことがあるので。調べられることは調べておくこと。まとめると、「地盤はちゃんと固めておこう」ですかね。

――アカウントまわりの管理や活動スタイルはもちろんですが、自分のやりたいことも含めた「地盤」という感じでしょうか。

こぐまろ
やりたいことも含めて、「どういう人と関わりたいのか」「どういうふうに生きていきたいのか」「Twitterはどう運営するのか」「コメントはどこまで許すのか」とか。そこまでできればパーフェクトですけど、さすがに全部は難しいかもしれません。人によって方向性もいろいろですし、活動のなかで考え方が変わっていくこともあると思うので。

たとえば、「こぐまろちゃんの配信、BGMが大きいから直したほうがいいと思うよ」っていうコメントがあったら、「あ、わかりました」って素直に直します。でも一方で、「こぐまろちゃん、もうちょっと女の子らしくしたほうがいいよ」とか、「男性VTuberと関わらないほうがいいよ」とか、そういう意見もめちゃめちゃくるんですよ。特に最初の頃はめっちゃ来ますよ、自分の女に仕立てようとする輩が。だから、それにいちいち惑わされないことも大事です。

結局、何年も生きるには胆力がいると思っているので。何かあった時に決断できる力とか、「人に左右されない」ことが大事だと思います。

――では最後に、これからVTuberデビューする人に向けて、何かメッセージをお願いいたします!

こぐまろ

まろちゃんが生きていけているので、みんな、YouTubeで好きなことをして大丈夫だよ。暗に怯えるな。……ありがとうございました。こぐまろをよろしくお願いします!

お話してくれた人
こぐまろ
こぐまろ

下ネタと性知識に強い、真面目で清楚な性癖探求VTuber。

デザインやモデリングをすべてセルフで行なってきた完全個人勢であり、2019年6月から自由気ままに活動している。

「性癖茶会」と題したテーマ雑談が名物で、最近は女性用風俗の体験談を継続して発信。本能と煩悩を燃料にして爆走を続けている。

【先輩V】こぐまろ

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この記事を書いた人

けいろーのアバター けいろー バーチャルライター

フリーライター。VTuber/VR関係のメディアとしては、MoguliveやVtuber Postに寄稿。インタビューやライブレポートなどを担当している。その他実績として、コミックナタリー、ふたまん+、SUUMOタウン、ぐるなび みんなのごはん、『初音ミクエキスポ』公式パンフレット、双葉社『EX大衆』VTuber特集、日本看護協会出版会『創造られたヒロイン、ナイチンゲールの虚像と実像』など

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