「Planet Station」とは
「Planet Station(プラステ)」は、バーチャルアイドル・柚子花(ゆずは)が主催するライブイベント。
毎回異なるアーティストが出演する対バン形式のオンラインライブで、音楽ジャンルも活動スタイルもさまざまなVTuber/Vsingerが登場。
個性豊かなアーティストたちによるステージを楽しめるバーチャルライブです。
2022年1月に第1回が開催され、2023年11月にはついに第10回を迎えるPlanet Station。
色とりどりのアーティストが織りなすステージは、いったいどのように作り上げられているのか。そして、なぜこのようなスタイルでイベントを主催し続けているのか。
自身もバーチャルアイドルとして精力的に活動を続けている主催者、柚子花さんに話を聞きました。
主催者インタビュー
対バン形式のVTuberライブ!「Planet Station」とは
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
企業への所属はどのような経緯で決まったのでしょうか?
Twitterで「柚子花の尻に敷かれたい企業はいねーのか!」と呟いたところ(※)、リプライをいただきました。所属の決め手となったのは、自社で3Dのモーションキャプチャースタジオを持っていたことですね。
当時はちょうど「3Dモデルができあがったけど、家で動かす環境がないぞ!?」という状況で、VIVEアンバサダーになってみたり(※)、いろいろな道を模索していたんですけれども……最終的には「モーキャプスタジオが最強じゃん?」と考えて、所属を決めました。
――あ、当社では恒常オーディションの募集をしておりまして、中途加入も可能でございます。お待ちしております。
先ほどのご紹介にもありましたが、2022年からはライブを主催されていますよね。柚子花さんが主催する「Planet Station(プラステ)」とは、どのようなイベントなのでしょうか。
Planet Stationは、対バン形式のライブです!
出演者それぞれに数十分の持ち時間があり(出演者数で変動)、その時間内で自身の世界観を表現することができます。お客さんにとっては「短めのソロライブが連続で見られる」ようなイメージですね。
過去にあった回では、歌が上手なVSingerやダンスに特化したVTuberさんにご出演いただいたほか、合成音声キャラクターにもステージに立っていただいたことがあります。
ちなみに、イベント名に由来はありますか?
出演者様のさまざまな個性を星の輝きに喩えつつ、活動の途中で立ち寄る場所になるようにと願いを込めて、「Planet Station」と名づけました。『銀河鉄道の夜』みたいなイメージですね。
なぜ対バン形式でのライブイベントをやろうと考えたのでしょうか。
最近はVTuberの対バンライブも増えてきましたが、1年前――2022年は中規模のライブイベントが本当に少なくて……。あるとしても、それこそ規模の大きなフェスとかになっちゃうので、自分に出演のオファーが回ってくるようなことはほとんどなかったんですよね。
せっかく3Dモデルがあっても、オリジナル曲を作っても、ぜんぜん披露する場がない。歌系のVTuberとしてやっていくには、結構苦しい状態がありました。周りの友達も同じような状況だったので、「それなら、柚子花が……作るか!」と思って、VTuberを呼べる対バン形式のイベントにしました。
「ないなら、オレが作ればいいじゃん!」と。
そう! せっかくね、モーションキャプチャースタジオがある企業に所属していて、使い放題ですので!
やっぱり、せっかくクラウドファンディングで3Dモデルを作ったり、オリジナル曲を作ったりしたのなら、それを披露してお金にできる場所が欲しいじゃないですか。でも、特に個人勢の方だと、「ソロライブをできるかも怪しい」みたいな状況があるんじゃないかなと。
たしかにVTuberのイベントというと、大手企業がスポンサーについているような音楽ライブか、そうでなければ個人店で行われるコラボカフェか……といった形で、少なからず二極化している印象がありました。
そうなんですよね。Planet Stationみたいな立ち位置のライブは、本当になかった。最近はえのぐさんが主催する「VRide!」やProjectBLUEさんの「vortex」、文化放送さんの「ぶいかふぇ♪」などもあり、選択肢も増えつつありますが。
そういう意味では、Planet Stationは「対バン形式で行われるVTuberライブ」の走りと言ってもいいのかもしれませんね。
うふふふふふ……! ちょっと名乗っていいのかはわからないんですけどね!(笑)
毎回異なるコンセプト!個性豊かなパフォーマンスを楽しめる場所
ライブの主催者として、柚子花さんはどのようなことをされているのでしょうか。また、Planet Stationならではの特色があれば教えてください。
各回ごとにコンセプトを決めたり、あとはキャスティングを主に担当しています。エンディングのクレジットには「エグゼクティブプロデューサー」って書いていただいてるんですけれども(笑)。
ただ、「コンセプト」って言っても、「今回は歌を聴いてもらう回にしよう」とか、「ダンスパフォーマンスがすごい人を集めたいな」とか、そんな感じですね。
キャスティングに関しては、リスナーさんに対して「そのVTuberさんが好きなら、この方もめっちゃおすすめですよ!」って勧めるような気持ちで組んでいます。「VTuberが好きで、自分自身もVTuberだからこそできることなのかな」と考えていて、そこがプラステならではの魅力になっていたらいいなと思いますね。
「関連するジャンルや歌でVTuberさん同士をつなげる」ようなイメージでしょうか。先ほど仰っていたイベント名の由来と通じる――というか、まさしく「星座をつなげる」ようで素敵ですね。
ありがとうございます! 実はオリジナル曲に『Planet Station』っていう楽曲がありまして……歌詞にドンピシャありますよ!
ちなみに、過去の公演で「この回はこういうコンセプトでキャスティングした」という具体例があれば、お聞きしてもよろしいでしょうか。
たとえば、初回はクラブミュージック――というか、クラブ映えする方々を呼んでいます。
ほかに特徴的なのだと、bilibiliと同時配信した回――STAGE.4ですね――では中国で活躍されているVTuberさんたちを呼んでみたりとか。あと、STAGE.3は合成音声絡みの方ばっかりですね。
この回は本当にすごいですよね。ボーカロイドのライブは以前から開催されていますが、「合成音声×VTuber」という掛け算のイベントは意外と見かけない印象もあり、斬新なキャスティングだったように思います。
この回を見逃してしまったことを今でもちょっと後悔しております……! キャスティングに関してもう少し詳しくうかがいたいのですが、出演者さんを決める際はどのようにお声がけしているのでしょうか。
最初にふんわりと軸を決めて、たとえば「今回は歌でぶん殴る回にしよう!」って決めたら、そのとおりにぶん殴れる人を集めていく感じですね。
最初にコンセプトを決めてしまって、そこからイメージを広げていくような流れでしょうか。たとえば、1人が思い浮かんだら、それに関連して「この人も呼ぼう」と連想ゲームみたいにつなげていったり……?
目指すは、全編食い入るように見ちゃうライブ!出演者も絶賛募集中!
ここまでお話をうかがってきて、Planet StationというイベントはVTuberファンにとってもありがたい、ある種の出会いの場になっているように感じました。これだけ幅広いアーティストが出演されているので、まだ見ぬVTuberや知らない楽曲を知るきっかけになっているんじゃないかなと。
多分、そうなっていると思います。ありがたいことに、プラステをリピートで見てくれてる方が結構いらっしゃるんですよね。「今回はこういう子に出会えて嬉しかったよ」といった感想をいただくこともあります。
そもそもプラステは、黎明期からVTuberを支えてきたスタッフさんたちがスタジオでサポートしてくださっているため、「ライブ」としての基礎力も高いと自負しています。もしかしたら、そういった安心感があるからこそ、続けて見てくださっている方も多いのかもしれません。
「Planet Station」というイベントそれ自体のファンが生まれているわけですね。ファン目線だと、「オンライン上に馴染みのライブハウスができた」ような感覚でしょうか。
ん〜! 目指すはそこっすねー!(笑)
実際、「このイベントきっかけで誰々さんのファンになりました!」という声もお聞きしますので。
10回と言わず、20回、30回と続けられたらいいですね。では、そんなPlanet Stationには今後、どのようなVTuberさんに出演してほしいですか?
「ライブを通してこういう表現がしたいんだー!」っていう、めちゃくちゃ熱い気持ちがある人に出演してほしい。そんな気持ちがあります。
自分でオリジナル曲を作ってしまうくらい、作品作りに対してめちゃくちゃ熱意があるのに、「3Dのライブイベントにはお金がかかる」っていうだけで、発信できる場所の選択肢が1つ失われてしまっている。そんな状態をどうにかできないかな、その支援につながったらいいな、と以前から考えていたので。
なので、歌系のVTuberさんだけじゃなくて、ダンス系のVTuberさんとかにも出演いただけたら嬉しいですね。モーキャプスタジオなら、ご自宅で撮るよりも細かい表現ができるので!
すると、「VTuberさんがモーションキャプチャースタジオを利用するきっかけになれば」という気持ちもあったり……?
その気持ちもミリはあるんですけど、ちょっとバランスが難しい部分でもありまして……!
というのも、初めてモーションキャプチャーシステムを使う方がいきなりライブに出るのって、結構大変だと思うんです。体を使った表現に慣れていないと、いざステージに立ったときに「どうやって動けばいいかわからない」っていう状態になっちゃうので。
このあいだも「フルトラで動くのは初めてなんですよー」っていう出演者さんがいらっしゃったので、リハでステップを教えていました(笑)。
たしかに、プロのステージを見慣れている観客目線だとなかなか意識できませんが、「ステージ上で歌っている最中にどう動くか」も一種の技術ですよね。場数を踏まないことには難しそうな……。
そうなんですよね! でも、「その場数を踏ませてあげられる場はどこにあるんだ……?」っていう問題もありまして。
この点は今、頭悩ませているところではあります。そういう場も作りたいんだけど、「Planet Station」という冠ではできそうにないので、どうしたもんかな……と。個人的には「新人登竜門みたいなイベントも作れたらいいな」と考えています。会社の承認は降りてないです(笑)。
逆に言えば、すでに場数を踏んできている人――VRでの活動やパフォーマンスに慣れている人とかだったら、割と馴染みやすいかもしれません。過去回の出演者さんのなかでは、バーチャルダンスバトラーひいろさんやDr.floさんがそうですね。
VRで活動中のアーティストさんやパフォーマーさんは要チェックですね! 11月開催のSTAGE.10はリアル会場とのハイブリッド公演になるなど、ますます広がりを見せているPlanet Stationですが、これからどのようなイベントにしていきたいですか?
「オンライン上にある馴染みのライブハウス」って言っていただきましたが、そうやって「プラステだから見る」っていうお客さんが今後も増えていったら嬉しいです。
そのうえで目指すのは、「推しが出ていない部分も全編食い入るように見ちゃうライブ」ですかね! 「せっかくチケット代を払ったんだから、全編見ないともったいない!」っていう(笑)。
STAGE.10はハイブリット公演という形になっていますが、ほかに今後「こういう形式でできたらいいな」という構想はありますか?
おもしろいことが好きなので、まだやったことのないコンセプトをずっと探しています。
パッと出てくるのだと――ありがちかもしれませんが――「動物系のVTuberのオンリーライブ」とか「3D化してホヤホヤのVTuber」とか。そんな感じのコンセプトを今後も打ち出していきたいと思っています。
「歌うま」とかで括るのは結構いろんな人がやってると思うので……「俺、ケモミミ好きなんだよ!」みたいな人に刺さるライブとかね(笑)。あとはまだ考え中なので言えません!
ありがとうございます! では最後に、読者さんに向けてメッセージをお願いします。
あのー……Planet Station、出演者募集中でございまして……!
この記事を見て、「自分、歌系VTuberなんだけど、3Dパフォーマンスする場がなかったんだよな」とか、「もっと良い環境でダンスしてみたい」とか、「ライブパフォーマンスをがんばってみたい」とか、各分野で自信のある方がいらっしゃいましたら!
ぜひ、その自信を添えて応募フォームに送っていただけたら、とっても幸いでございます! よろしくお願いします!!
これまでに開催された公演
STAGE.1
STAGE.2
STAGE.3
STAGE.4
STAGE.5
出演者
- 柚子花
- がんばるぅ子
- 猫田リルカ
- Flare Rune
- 拠鳥きまゆ
- 莉々衣♪lily
- [Opening Act] 和崎あこ / バーチャルダンスバトラーひいろ / Dr.flo