夜の道路で交通安全を学びながらファッションショーを楽しもう!新コンテンツが追加された日産メタバース「NISSAN Heritage Cars & Safe Drive Studio」のお披露目会をレポート

日産自動車がVRChat上で公開しているワールド「NISSAN Heritage Cars & Safe Drive Studio」。

2024年3月の公開から1年を経たこのワールドに、本日新たなコンテンツが登場しました。日産が複数の大学と連携して創設した「交通安全未来創造ラボ」の監修のもと、夜間の「横断歩道」に関する研究のシミュレーションが公開されています。

ワールドの一般公開に先立って開催されたお披露目会では、研究成果の紹介に加えて「VR交通安全ファッションショー」も実施。VRクリエイターがモデルとしてオリジナルファッションで登場し、「交通安全×オシャレ」の観点から講評が行われました。

本記事では、そのお披露目会とファッションショーの模様をレポートします。

日産の名車と一緒に交通安全を学べる!VRChatワールド「NISSAN Heritage Cars & Safe Drive Studio」

日産の名車とその時代を感じるセットの中で撮影を楽しめる、メタバース上のスタジオ「NISSAN Heritage Cars & Safe Drive Studio」。どちらかと言えば「撮影スタジオ」としての要素が色濃いワールドですが、「Safe Drive」という名が示すとおり、ここでは交通安全に関する研究内容を体験することもできます。

そんなワールドに新たに追加されたのが、「横断歩道」に関する研究のシミュレーション。そのお披露目を行う前に、この研究に携わっている相模女子大学の角田千枝教授と文化学園大学の内山竜多准教授から、まずは挨拶がありました。

角田先生

相模女子大学の生活デザイン学科でファッションを担当している、角田と申します。

私は交通安全未来創造ラボの特別研究員として、「交通安全×オシャレ」をテーマに研究を進めています。今回は本年度の研究内容を皆様にお伝えしたいという私の想いを、日産と制作スタッフの皆様のお力添えにより再現することができました。

このワールドでの体験を通して、夜間の交通状況と、安全を高める知識を、楽しみながら深めていただけるのではないかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

内山先生

ご紹介にあずかりました、文化学園大学のファッションクリエイション学科の内山と申します。

主な研究テーマは、デジタルを使ったファッション表現です。今回のVRを使った角田先生の研究では、デジタルのサポートやモデルの素材の準備などで協力させていただきました。

今回はその演出の初お披露目ということで、この場におじゃまさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

角田先生の研究テーマは、「交通安全×オシャレ」。ラボの特別研究員として、歩行者・自転車・ドライバーそれぞれの安全意識を高める研究に取り組んでいます。

2022年には、視認性の低い黒い衣服が歩行者に好まれていることや、歩行者のほうがドライバーよりもヒヤリ経験が多いことを発表。ほかにも、モノトーンの服装の視認性の調査や、有彩色の服装の視認性などの研究を進め、「昼間は目立つ色でも夜間には見えにくくなる場合がある」「青や紫は鮮やかでも高齢ドライバーから気づかれにくい」といった成果を発表しています。

今回の研究で角田先生と内山先生が検証したのは、歩行者が夜間に「横断歩道」と「横断歩道のない場所」を渡る場合、服装の色がドライバーからの「気づきやすさ」にどのような影響を与えるか。そのシミュレーションと検証結果を体験できるのが、今回のワールドに追加された新コンテンツである、というわけです。

服の色と横断歩道の有無は、視認性にどのくらい影響を与えるのか

お披露目会の参加者一行が訪れたのは、ワールド内にあるスタジオ01。ここは1980年代のトレンディドラマの撮影に特化した仮想スタジオで、日産のシルビア Q’sと一緒に写真を撮ることができます。

また、このスタジオでは、「夜間にドライバーからは服装の色がどのように見えるのか」を再現したシミュレーションを体験可能。レバーを操作すると、シルビア Q’sのヘッドライトに照らされる歩行者の服やバッグの色が変化します。

レバーを操作すると、赤い服のマネキンが出現

赤い服だとはっきり見えますが、黒い服になると視認性が悪くなる。しかしバッグの色が白くなると、途端に視認性が良くなります。このことから、服の色が暗くても、手持ちのアイテムや服の模様に目立つ色があれば、安全性は高まることがわかります。

そして今回新たに実装されたのが、前述の「歩行者が夜間に『横断歩道』と『横断歩道のない場所』を渡る場合、服装の色がドライバーからの『気づきやすさ』にどのような影響を与えるか」のシミュレーションです。

シミュレーションを開始すると――写真だと少々わかりにくいかもしれませんが――黄・白・赤・青・黒の服を来た5人の歩行者が、道路を横断し始めます。

さらにレバーを操作すると、歩行者の足元を「横断歩道あり」と「横断歩道なし」の状態に切り替えることが可能。横断歩道の有無によって、道路を横切る歩行者の見え方がどう変わるのかを比較できます。

実際に比較してみると、たしかに横断歩道の有無が重要であることがわかります。

もともと目立って見える、明るい色の歩行者(黄・白・赤)についてはあまり違いを感じませんが、青・黒の歩行者に関しては一目瞭然。暗い色の歩行者は、横断歩道がないと道路に溶け込んでしまってほとんど見えませんが、下に横断歩道があると、足元に動きがあることで「人がいる」と判別しやすい印象を受けました。

この“歩行者”をワールド上に再現するにあたっては、大学でVRの実験室を作り、そこで撮影なども行なったという角田先生。シミュレーションの紹介を終えて、以下のようにまとめました。

角田先生

おそらく「横断歩道のほうが見えやすいのは当たり前じゃない?」と思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、そうだとわかっているのに、横断歩道以外を渡ってしまっている人も多いと思うんです。

実際、横断歩道以外を渡っていた事故で亡くなられる方は少なくなく、令和5年の調査結果では2022人の方が死傷なさっています。

このような事故を未然に防ぐためには、ドライバーの方と歩行者の方が、少しずつ「怖い」という意識を持つことが大切です。このVR空間で皆様に体験していただいて、少しでも意識をするきっかけになれば幸いです。

夜の路上がランウェイに!?視認性も一目瞭然のVRファッションショー

交通安全についてしっかりと学んだ後は、お待ちかねのファッションショー!

VR交通安全ファッションショー」と題して、7人のモデルさんが次々に登場。ランウェイに見立てた夜の道路を歩いてもらい、「オシャレ」だけではなく「交通安全」の観点からも講評を行います。審査員は、角田先生と内山先生、そしてバーチャル探検家のリーチャ隊長です。

ここからは、MCを務めるモーリーさんによる秀逸な口上を書き起こしつつ、モデルさんのお写真と、審査員の皆様のコメントをあわせてまとめていきます。

森アゲハ&有明ステラ

モーリー

まず最初に登場するのは、実力と華やかさを兼ね備えた金髪レディー、森アゲハ。情熱の「赤」をまとい、本日のファッションショーのトップバッターを飾ります。

VRChatではイベントスタッフや3D衣装の宣伝を手掛けるだけでなく、VRダーツの世界でも圧倒的な実力を誇るプレイヤーとして活躍。毎月50人以上が参加する大会で優勝経験を持ち、まさに芸術と戦略を兼ね備えた彼女。今日のスタイリングにも彼女のこだわりが隅々まで詰め込まれています。

赤一色にとどまらず、繊細なグラデーションを取り入れることで、単調にならず奥行きのある仕上がりに。さらに、帽子やカバンなどの小物も同系色で統一しながら巧みにバランスを取り、華やかさの中に洗練されたエレガンスをプラス。

目を引く髪色。視線を奪うコーディネート。こだわりの詰まった唯一無二のスタイルとなっています。

モーリー

「青」の輝きでみんなを照らす、あなたの一番星・有明ステラ

メタバースを舞台に、イベントキャストや3D衣装のアンバサダー、さらにはリアルイベントでのバーチャル接客まで、多方面で活躍。VRChatではスグバースやスグバースサポートの一員として、バーチャルアテンダントやサポート業務にも尽力。そして、今年1月にはVTuberとしてもデビュー。

そんな彼女が選んだのは、大人かわいくも爽やかな「青」のコーディネート。こだわりはベレー帽、ブーツ、アクセサリー、すべてに異なる青を散りばめたこと。薄い青、濃い青、そしてキラキラと輝く青は、まるで夜空に瞬く星のように、多彩な表情を見せる一着です。

メタバースの世界を翔ける一番星。その輝きをどうぞご覧ください。

審査員による講評

角田先生

お二人ともすごくかわいらしい格好でしたね。尻尾なども生えていらっしゃって、そこが揺れるたびに白色が目に入るので、視認性も高いと思います。とてもバーチャルならではと感じました。

内山先生

ワントーンコーデなのですが、みなさん、素敵に「白」を取り入れているところや、アバターならではの獣の要素などもあり、すごく見やすくなっていたと思います。

リーチャ隊長

ん~……カワイイねぇ!!

もうねぇ! 運転中にねぇ! あんなん街中で見かけちゃったらね、「ヒュゥ…」みたいな、口笛吹いちゃいますよねぇ! ……口笛吹けなかったけど今!

思わず舐めるように……こんなんじゃ、よそ見運転になっちゃうYO! みんなは気をつけようネ!!

Esuke&yoikami

モーリー

和の魂を宿し、「緑」の風を纏う、Esuke

VR剣舞家として、モーションアクター、舞台役者、そしてVRファッションモデルとしても活躍。VR劇団「『カソウ』舞踏団」に所属し、演舞の美しさとダイナミックな動きを表現し続けています。

今回のスタイリングは、深みのあるグリーンのスカジャンをメインに、赤いパーカーとダークグリーンのパンツを組み合わせた、クールなコーディネート。

ダンディーなアバターに、カジュアルながらも洗練されたアクセントを加え、遊び心も感じさせる絶妙なスタイル。クールでありながら、近寄りがたい雰囲気を和らげるはっちゃけ要素を絶妙にミックスし、親しみやすさも演出しています。

さあ、和の気品と、現代のストリートスタイルが融合した、Esukeにご注目ください。

モーリー

「白」の輝きが際立つ、舞台の申し子、yoikami

アメリカ音楽祭やベネチア国際映画祭をはじめ、世界5カ国以上の映画・音楽祭で活躍。VR劇団「『カソウ』舞踏団」の劇団長でもあり、動ける脚本家・演出家としてVRダンスやモーションアクターの分野で国際的な評価を受ける、創造と躍動のアーティストです。

そして今日は、演技と身体操作の技術を生かし、VRファッションモデルとして堂々の登場。身にまとうのは、視認性の高い純白の舞台衣装。シンプルながらもシルエットが美しく映えるデザインで、サブカラーのブラックとアクセントのレッドが、絶妙なバランスを生み出します。

舞台では光を受けて、存在感を放つ衣装。道路という新たな舞台ではどのように映るのか、その瞳でお確かめください。

審査員による講評

角田先生

Esukeさん、いいですね。

リアルの世界では、男性は本っ当に黒とか濃い色が大好きなんですよね。全身。それに対して、真っ白なドクロも取り入れたり……後ろからだと危険だったりするので、とてもおすすめのファッションです。

ぜひみなさんも、Esukeさんのような格好を着ていただけたら、と思いました。

内山先生

自分も今日は真っ黒なんですけど(笑)。足元に白を入れて、視認性を上げてみました。

あと、yoikamiさんの白のセットアップはやはり視認性が抜群で、スタイリッシュでとても素敵だなと思いました。

勇気がいるスタイリングだと思うんですけど、自分も今日は勇気を出して、スカートを履いてみました。男性でも最近はスカートを履く人が多いんですよね。アバターだと楽しみやすくていいなと思います。

リーチャ隊長

やはり緑と白! そのとおり!

でも……アレですね。僕、Esukeさんが出てきた瞬間に気づきましたけど、「あれっ……? 図体でけえなアイツ!」と思いましたよ。

VRでは僕、120cmくらいしかないものですから、あのくらいデカくなりたいなあと! 僕ももっともっと成長していきたい。牛乳とかを飲めば成長できると信じて、僕もやっていきたいなと思いましたねー!

……ファッション? ファッションか? これ?

Kawasaki Silvia&ALDLA

モーリー

漆黒の洗練、スタイリッシュな「ブラック」をまとい、夜の街をクールに彩る、Kawasaki Silvia

VRファッションモデル/アクターとして、ファッションショーやコンパニオン、さらにボクシング大会のラウンドガールまで、多彩に活躍。モデルチーム「Silky Charm」の代表として、アバターや衣装の魅力を最大限に引き出す演出・表現を手掛けています。

また、番組MCやVRデバイスのレビュー、モーション販売など、VRとリアルを繋ぐYouTube活動も展開。

今夜、彼女が選んだのは、洗練されたブラックコーデ。体のラインを美しく際立たせるニットに、タイツで足元までシックにまとめたスタイル。漆黒の街に溶け込みながら、確かな存在感を放つシルエット。

そして今夜、このランウェイを照らすのは、日産“シルビア”のヘッドライト。同じ名を持つ彼女が、歩みを進めます。

“シルビア”の名を彷彿とさせる、エレガントな佇まい。そして、走り抜けるようなスタイルの美しさ。彼女のクールなウォークにもご注目ください。

モーリー

鮮やかな「イエロー」を身にまとい、軽やかな足取りでランウェイを彩る、ALDLA

VRChat上でのイベント運営や企画立案を中心に活動しながら、衣装販売に合わせた宣材写真や、ランウェイモデルとしても多方面で活躍。さらに、主演アクターとして参加した映像作品が国際映画祭のVR映像作品部門にノミネートされるなど、その実力は折り紙付き。

そんな彼女が選んだ今日のスタイリングは、春の訪れを感じさせる、爽やかなイエロー。

ただ明るいだけではない、計算された配色。背中やポケットにあしらわれたワッペンが、遊び心と個性をプラス。黄色をベースにしながらも、豊かなカラーバリエーションを取り入れることで、夜間でも一際目を引く視認性の高さを実現。まさにどんな環境でも、輝きを放つ一着です。

さあ、その輝き、その鮮やかさを、目に焼き付けましょう。

審査員による講評

リーチャ隊長

まず……カワイイねぇ! カワイイし……2人とも、脚を出しすぎなのではないでしょうか!?

これは、もう……脚に目が行って、もう……アレですよ! ヘッドライトを通して見たら、脚だけが歩いているんじゃないかと! これは! 真夏の都市伝説なんじゃないのか!? ねえ!

そういった……あの、僕の心に……その、都市伝説という……なんか、歪んだ感情が……こう……ねえ!? 大変なことです! これは大変なことですよ! すぐさまみんな脚を出したほうがいいなと思いました!

目立ちますよね!? 先生!!

内山先生

えっと、リーチャさんに対するコメントは控えさせていただきます。

今、「研究の成果」ということで写真を撮らせてもらってるんですけど、ずっと隣で、緑色の髪の人がすっごい姿勢で下から覗いてたんですけど(笑)。ばっちり撮れてしまったので、「これは本当に大学で使っていいのかな……?」みたいな感じになっちゃいました(笑)。

みなさん、モデルの歩き方がすばらしくて、見惚れてしまいました。2人とも少し暗い色ではあるのですが、素敵なファッションでまとめられていると思います。

角田先生

最後のALDLAさんですが、「黄色」と「黒」って危険な時に使いません? あの色のスカジャンって、すっごく目立ちやすいんですよ。だからおすすめです。ファッションの視点から見ても、オシャレで目立ちやすい。

ただ、なかなか勇気を持たないと買えない色なので……みなさん、ぜひ、今日を機に勇気を持ってください(笑)。

ニック

モーリー

やってまいりました! 本日ラストのアクターは、VRChatの元祖宇宙人、ニック。今回は「グレイ」ならぬ「グレー」担当で歩いていただいております。

VRChatの世界で、独特なキャラクターとパフォーマンスによってユーザーを魅了してきたニック。彼のパフォーマンスは、見る者すべてを笑顔にし、驚かせる力を持っています。

(以降、ニックの挙動を実況)

審査員による講評

角田先生

最高ですね。道路ってグレーなので……始めとか、すごい擬態化していましたよね?(笑)

宇宙人だってことも、存在がバレなさそうで、ある意味では最高だったんじゃないでしょうか。

内山先生

いやー、相当楽しかったです。とにかく見えない(笑)。

反射板を使うあたりも良かったですし、最後の穴に落ちる演出も、とてもおもしろくて笑わせていただきました。

リーチャ隊長

先生お二人ともね、どちらかと言うとニックのパフォーマンスに目を奪われている。これはねー、良くない。アイツは笑いを取って、てっぺんを取ろうとしているようなところがあるから!

でも僕が評価したいのは、さっきちょうど「黄色が一番目立つ」という話をしていましたが、ヤツはヘルメットまで黄色でね、ちゃんと目立とうとしていましたから。

やはりあのー、僕もね、彼の気持ちがわかります。こういったいろんな催し物に出てると、「いかに自分が目立つか」「どうやって目立とうか」「どうやって撮れ高を取ろうか」「どうやってカットされないように自分の存在を動画の中に残すか」、そんなことばっかり考えてます!

そういった意味では、彼はやっぱりプロなんだなと。わたくし、もう感服いたしました。ありがとうございます。

……ハイッ!!!!!(決めポーズ)

「オシャレ×交通安全」を体現した受賞者は……?

7人のモデルによるショーが終わり、いよいよ結果発表。「オシャレ」と「交通安全」の観点から選出を行い、3人の審査員からそれぞれ賞が贈られます。

角田賞「森アゲハ」

角田先生

どのモデルのみなさんもすばらしかったのですが、今回は「いかに日常に取り入れやすいか」という視点で賞を決めました。

みなさん、アゲハさんの足元を見てください。白い靴下を履いていますよね? これは、めちゃめちゃみなさんにおすすめなんですよ。――アゲハさん、ちょっと歩いてみたりとか、動いてもらっていいですか?

そうすると……すごく動いているのがわかりません? 明るいものが動いている状態って、ドライバーからはすごく見えやすいんですよ。

だから、足元とか手の先とか、動きやすいところに視認性の高い「白」を使うことで、どんな色の服でも見えやすく変わるんです。そのような点で参考になると思い、賞に選ばせていただきました。

内山賞「yoikami」

内山先生

夜間のドライバーからの見えやすさを重視しました。あとは「VRならではのファッション」という点です。上下が白のセットアップでばっちり決めたファッションなので、とにかく視認性が抜群でした。

黄色も見やすい色ではあるのですが、実験データを見ると、横断歩道がないところでも唯一、見え方に差が出ない色が「白」でした。なので、「どこを歩いていても見やすい」という点から選ばせていただきました。

ただ、白のセットアップは、現実で着るにはすごく勇気のいる色です。自分も黒が多いのですが、現実では社会の価値観を考慮して、馴染む色をついつい選びがちなんですよね。

ですがVRでは、今日来ているみなさんもそうであるように、自由なファッションやアバターを着ることができますし、それを楽しんでいるのもすごく伝わってきます。

なので、VRならではの価値観でオシャレを楽しみつつ、今日の話も持ち帰ってもらって、現実でも勇気を出して、明るい色を着てみてほしい。アバターを着替えた時の気持ちよさを味わえるはずですので、視認性も意識しつつ、現実でもファッションを楽しんでもらえればなと思います。

リーチャ賞「ALDLA」

リーチャ隊長

おもしろいから、ニック……だと思いきや! ALDLAさん!!

僕は「黄と黒が警戒色」って、そういえば言われて気づいたな、っていうところがあって。さらにそれがスカジャンだったら、自然に着られるじゃないですか! 黄色と黒。「俺、なんでこれに気づかなかったんだろう?」と思って。

たしかにスカジャンって、派手な色と黒でいろんな組み合わせがあるから。「交通安全的にもスカジャンっていいんだ」っていうのに今日気づかせてくれたので……あと、「生脚がきれいだったので」という邪な理由ももちろんありますけれども!

「危険な女・ALDLA」みたいなね! 警戒色の女・ALDLAに、ぜひ賞を! ――ということで、おめでとうございます!

VRでの体験を、交通安全を「自分ごと」として考えるきっかけに

歓声の飛び交うVRファッションショーが終わり、このお披露目会もエンディングを迎えます。

最後に、角田先生、内山先生、リーチャ隊長から三者三様の感想をもらいつつ、このイベントとワールドの企画に携わってきた日産自動車の堀越実氏からの挨拶をもって、お披露目会は終了。後半のファッションショーのインパクトも大きかったですが、それ以上に、普段はそうそう意識することのない「交通安全」について再考する貴重な機会となりました。

角田先生

このワールドを体験いただいたみなさんには、明日から交通安全のことを自分ごととして考えてもらえたら嬉しいなと思います。

たとえば、運転している時に「横断歩道以外を渡ってる人がいるかもしれないから、気をつけて運転しよう」「暗い服の人が多いらしいから、ちょっと気をつけてみようかな」と考えるようになったり、歩行者として歩行中に「あそこを渡ったら早いけど、横断歩道以外は危ないから、ちゃんと横断歩道を渡るようにしようかな」という意識が芽生えたり、洋服を選ぶ時に「今日は夜に出かけるから、明るい色を着ようかな」と意識するようになったり。

もしそういうふうに感じるようになったら、「実はこの空間でこういう体験をして~」ということを、ぜひみなさんの言葉で伝えていただけたら嬉しいです。

内山先生

角田先生がまとめてくださったので、私からは今回の研究で苦労した点をお話しします。

今回、VR空間でこの交通安全の実験をしたのですが、横断歩道を渡っている人の色の、明るさのニュアンスを設定する部分で苦労しました。距離によって色を変えるとか、角田先生と2人で遅くまで調整を繰り返して、納得のいくものができたと思います。

いろいろなスタイリングを見てもらったように、みなさんも「足元だけでも白を入れてみる」とか、そういった新しい気づきを得てくださっていたら嬉しいです。自分も今回、VR空間で刺激を受けて、大変勉強になりました。参加していただいた皆様、どうもありがとうございました。

リーチャ隊長

非常に緊張感のある撮影になりました。

わたくしもですね、先生のお話が興味深くて聞いていたのですが……つまり! 我々は、目立つ格好をすればどんどん目立てる! そして! VRの世界なら、「現実で真っ白な服は着れないよ~」とか「真っ赤な服、勇気がいるなぁ……」とか、そういうのを気にせずに着られる!

これがVRChatの良いところ! つまり! 俺たちはどんどん目立つ格好をするべきだ! 俺はもっと目立つ格好をする!

――ということで、明日から黄金色とかにしようかと思います。ありがとうございました!

堀越氏

本日は大勢の方にご参加いただき、誠にありがとうございます。交通安全とファッションの融合、楽しく学んでいただけたでしょうか。日産としてもチャレンジングな企画でしたが、大成功だったなと思います。

世界的に見ると、実は日本は歩行者事故の比率がすごく高くなっています。中でも道路を横断中の事故が半分以上を占めていて、歩行者の信号無視など法令違反も少なくありません。歩行者の歩き方も実は道路交通法で規定されていて、違反すると罰金が科せられますのでお気を付けください。

交通事故の削減には、人・車・社会の三位一体の取り組みが必要と言われています。しかし残念ながら、今の車の技術で交通事故を完全になくすことはできません。そこで、人――ドライバーや歩行者の安全への意識が大切になります。

まずドライバーの方は、夕方や夜間に視認性の低い、暗い服を着ている歩行者が多いので、十分お気をつけください。歩行者はどこから出てくるかわかりません。

歩行者の方は、横断歩道を使いましょう。最近は、ながらスマホによる前方不注意の事故も増えています。歩行中にスマホを見るのはやめましょう。そして夜に歩くときは、服装に明るい色を入れたり、反射材を身につけたりしてください。

日産自動車・交通安全未来創造ラボは、今後も交通事故削減に向けてさまざまな取り組みを行なっていきたいと考えています。交通安全を自分ごと化するのに有効な、VRを使った啓発も継続して行なっていきたいと思います。

皆様、今後とも私たちの活動へのご理解とご協力をお願いします。

横断歩道のシミュレーションが追加された「NISSAN Heritage Cars & Safe Drive Studio」は、VRChatで常設ワールドとして公開中です。過去に行ったことがある人も、そうでない人も、この機会に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

関連リンク&ワールド情報

ワールド名NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio
作者NissanMotor
プラットフォームPC / Quest
データ容量194.58 MB
公開日2024年3月7日

記事に載せきれなかった写真

スタッフ

ワールド制作Lura(QuickBrown)
はい(QuickBrown)
ファッションショー/審査員リーチャ隊長
撮影ライヒ
rocksuch
Yzha
inaba_mochi
dokkoi
ファッションショー/スタッフ
SUSABI
ファッションモデル森アゲハ
有明ステラ
Esuke
yoikami
Kawasaki Silvia
ALDLA
ニック
プロデュース往来
ファッションショー/MCモーリー

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